だけど、私の脳裏には彼の隣にいる女性が気になっていた。


「あの、梨華さん、ですか?」


「あ、はい。そうです。」


一翔を引きはがして彼女に向かった。


「あなたは?」


「西條 ほのかと申します。」


「あ、二富 梨華です。」


西條 ほのかはふわふわした雰囲気の女性だった。


「あれ、てことは西條さんは一翔の婚約者…さん?」


「あ、いえいえ。私は一翔さんとの婚約はお断りしましたの。」


「えっ?」


「ほのかは俺たちと同じで族に所属してる奴に恋したんだよ。」


一翔が説明を加えた。


「あれ?じゃぁなんで…。」


「一翔さんのお母様の目を欺くためですの。あのお方は聞く耳を持って下さらないから…。」


「西條さんは「ほのかでいいですよ、梨華さん。」


「ほのかさんはそれでいいんですか?」


「えぇ。だって一番好きな人と結婚しなくちゃ将来が楽しくないでしょう?いやな人といくら家のためだからと言って結婚なんて私は絶対したくないですわ。」


ほのかはそう言った。


「そういうこと。俺もずっと母さんの言いなりだったけどほのかのおかげで踏ん切りついたから。」


一翔はそう言って私に小さな箱を渡してきた。