その私の反応を見て課長がにやりと笑う。
 あ、その笑い方ずるい。
 座ってて良かった。立ってたら多分私腰が砕けてる。


「今日の予定は?」


「……この件のデータ修正終わったら、先方にメールするつもりですが」


「そうじゃなくて仕事の後」


 緒方課長はスーツのポケットからスマホを取り出して何やら操作している。
 もう何でこの人こういちいち仕草が絵になるんだろう。


「何もないなら二人で飲みに行くか」


「え」


 部署の歓送迎会や忘年会ならともかく、課長と二人で飲みに行った事なんてない。
 課長が他の女子社員と飲みに行っているのも見た事なんかないのに。


「お前が希望するならこの声一晩中聞かせてやるけど?」


「えっ……えええええっ?」