「あと宮原」
細々とした注意の後、不意に私の名前を呼んで緒方課長がぐっと顔を寄せてきた。
「えっ」
課長の睫毛がすぐそばまで近づいて身体が硬直する。
今更怒鳴り声ではびびらないけど、この距離はすごく困る。さっきと違ってなんだか課長の眼が笑ってるし。
「お前、俺の声好きだろ」
!!!!
耳元に口を寄せて囁かれて心臓が大きく跳ねた。
息が、声が、言葉が。
脳天が痺れる。
同時に顔が一瞬でものすごく熱くなる。赤面しているのは鏡を見なくても疑いようがなかった。スカートの裾からのぞく膝までがストッキングを透かして尚赤い。
まずい。
だってこれじゃ。