「啓、突然なんだけど空気の綺麗な街に引っ越そうと思うの。」

お母さんから唐突に言われた。

「えっ?」

あまりに急すぎてどうしていいか分からない。

「啓も小学校に通うでしょ。空気が綺麗な方が病気も再発しにくいと思って…」

確かにその通りだしお母さんの言ってることは間違ってない。

けどここから離れることが寂しくて何よりも志桜里ちゃんのことばかり思い出した。

「わかった。」

そういうしかなかった。

「引っ越しは5日後よ。」

志桜里ちゃんにこのことを言うかどうか迷った。

けど突然いなくなったらきっともっと悲しむはず。

僕はその日に志桜里を菜の花畑に呼びだした。