登校は優と一緒



「ゆうきいてっ、きのうコンサートで理紅がね」
弟に世間話を話すのは日課


なんでも話せる友達のような関係。


優は、私が中学2年の時に親の再婚で家族となったたった1人のきょうだい




あれから3年たった今、こうして2人隣に並び電車を乗り継いで同じ高校に通っているまでの仲になった




車内に乗り込むと


「こっち」
グッと腕をを引かれ窓側を背中にされる




「れんすぐ痴漢されるから強制」



目の前に立って満員に押し潰されるのを腕で抑えてくれる


ん?優香水変えた?

ほのかに香る甘い匂い



「あ、ありがとう」






学校に着くと



「じゃあね」


「おうっ」



こんなに仲の良い兄弟は私達くらいだろう。



【2年2組】
教室に着くと、

「れん〜おはよ!!きのうのライブどうだった?」



クラスの女子から質問の嵐


「もうね、最高だったの。かっこよかった〜」




「あっ、また優くん騒がれてるよ」



「えっ?あ、ほんとだ」



窓の外には制服のままサッカーをする優

その周りに騒ぐ女の子


「ゆう、人気者だなぁ(笑)」



顔が良くて優しい弟は学校の人気者だった





授業中ーー



セーターにイヤホンを通して伸ばした袖から音楽を聴くのが毎日の楽しみ


だけど今日は



「3..2..1..」



11時から始まるREMONのラジオ





「さぁこんにちは!今日の担当は理紅です」




えっ今日りくなの?最高



嬉しさに大きい声を出せない。


寝ている振りをしてそっと耳元で聴く



「俺最近引っ越ししたんですよ」


へぇ〜りく引っ越ししたんだ、彼女と同棲かな?いや、それはないか。ぁあでも彼女居たらどうしよう〜!!!



わたしは、完全なる非現実的な女子高生だ。







シンデレラコンプレックスをご存知だろうか?


わたしはまさにそれ


いつか理紅が目の前に現れて私を迎えに来てくれるんだ、そう思っている






普通の人じゃあありえない考え方。




そりゃあかっこいいと想う人はいる、でもすぐ理紅と比べてしまうんだ






君にいつか出逢えたら、、


なんてことをいつも夢見ていた。