*翔平side**
はぁ…。勢い余って場所移動してきたけど、
特に行く場所ないんだよねぇ〜…
「誰かいないか…」
(え、まじかよ…)
少し離れたところには、"あいつ"の姿が。
(今から試合か…)
俺はあいつのプレー姿に釘付けなことに気づく。
「俺なんであいつのこと好きになったんだろうな…」
卓球をしてる姿も好きだった。
友達と楽しそうに話してる姿も。
悔しがって泣いているところも。
友達のことも、まるで自分の事のようにしていたことも。
全部ひっくるめて、俺は"滝口茉侑架"が好きだった。
あいつは試合相手に容赦せず、見事圧勝。
「自分の事分析してプレーしてるんだろうな。」
正直に、あいつは頭の回転がいいのだと思った。
《天賦の才》とかいうやつかな。
あ、またみすず達と話してる…。
(可愛いな…)
あー、ダメダメ。集中しろ、俺。
今はあくまでも教師、顧問もいう立場なのだから。
「「先生!」」
(ん、みすずとりさか?)
「どうした?」
俺は振り返った。
それが、どうなるかも知らずに。