朝起きて一番に一琉を目にして安心する。


誰かが傍にいるって、死ぬほど幸せかもしれない。


確かな温もりに安心するように目を閉じて少し身を寄せると、スルリと伸びた腕が私を抱き寄せて額に口づけてきた。



「一琉?……起きて…たの?」


「ん、ウトウト微睡んでたら凪が甘えてきたから…」


今日はこの部屋に来て始めて一琉が服を着て目覚めた朝だと思う。


まぁ、私が夕べそうしなかったら一緒に寝ないと言ったからなんだけどさ。


しばらく抱きしめあったまま一琉の体に身を預けていると、一琉の手が服の下の金魚に触れた。


小さく反応すると、一琉は満足そうにクスクスと笑う。



「やっぱ、ここが苦手だね凪…」


「そんなソフトタッチでこられたらくすぐったいよ」


「じゃあダイレクトにいっていいんだ」



ニヤリと笑った一琉が赤い舌を覗かせて、忍ばせた手で胸を揉んだ。


この発情期男っ!


「ノーブラ万歳~」


「今すぐにやめないと…、嫌いになるよ」


「また、そんな事言うし……、昨日はお風呂でいい感じだったじゃん俺たち」


「一琉が勝手にしたんじゃん!」


「だって俺、凪としたくて仕方ないんだよ?」



だから、何でそんな悲しそうで切ない表情で訴えてくるかな…。


「ね、…凪。早く俺のモノになっちゃいなよ…」


甘い言葉が耳に直接吹き込まれ、身をすくませると一琉がその反応にクスリと笑い耳朶を甘噛みしてくる。


あっ…、一琉のペースに引き込まれる。


瞬時に反応して巻きつきそうな腕から逃げ出して布団を出ると、一琉が苦笑いで失敗。とか言ってくる。


きっと、金魚すくい。を意味してる。


バクバクと煩い心臓をなだめながら、クスクス笑う一琉をひと睨みすると立ち上がってキッチンに向かった。


そして炊飯器を開けようとして手がとまる。


しまった…、ご飯炊き忘れた……。


今から炊いていたのでは時間もないし。


ん~。と、考えこむように代用品を探してみても気の利いた物はなくて。


本格的に困ったと眉根を寄せた時に一琉が顔を出した。


「あれ?凪どうしたの?」


「ん、ご飯炊き忘れた……」


「あらら、何か他にある~?」


なんて、一琉が食材の入った引き出しを開けて何やら真剣に考えている。