だけどすぐ後に思い出したように胸ポケットから小さな紙袋を取り出して渡してくる。


「何ですか?コレ…」


「昨日の……、何だっけ?なつ…、夏希だ!夏希に迷惑料として渡しておいて」


「……秋光さんてマメですよね」



私にはあんみつ買ってきたし。



「ん、貸し借りは作りたくないもんで…」


「昨日のあんみつは秋光さんの好きなものとか?」


「俺は和菓子派。餡子とか好きだな」


そんな話をしていると一琉も中に顔を出す。



「また、凪にちょっかいかけてないよな?秋光…」


「してねーよ。そんなに女に困ってねぇし」


「うわっ、秋光さん軽く失礼。ってか嫌な感じ…」


「ええっ?!俺集中攻撃?」


焦る秋光さんをクスクスと笑うと、一琉が私を引き寄せて外に連れ出す。


何の意味か疑問の眼差しを向けると、ムスッとした顔で抱きしめてきた。



「俺以外の男と2人きりになったらダメだよ…」


「………ヤキモチ…?」


「凪は…、俺だけのものだから……ね」



僅かに照れて赤くなりながら言う一琉が可愛らしくて、さっきの妖艶な一琉とは別人の様だ。


こんな一琉も可愛くて……好き…。


秋光さんが出て来る前に、さっと唇を重ねて離してみると、一琉は不意をつかれて驚いたけどすぐに子供のようににっこり笑った。


可愛い……。


蝶々と金魚はこのまま一緒にいれるのかな?