私たちはビルの中に入った。狭いエレベーターでゴトゴトと4Fに向かった。

「フーコの館」は、エレベーターを出てすぐに見つかった。木製のドアに金のプレートがかかっていた。

ゴージャスな感じに見せてるけど、安っぽくてうさんくさかった。

「入る? それともやめとく?」

私の問いに、マホがぶーたれた。

「ここまで来て帰るの~?!」

「そうだよ、入ろうよ」

エミも言う。サヤカもうんうんとうなずいている。

仕方ない。入るか。料金ふっかけられても、どうせお金そんなに持ってないし。

私たちはドアを開けておそるおそる中に入った。





ここで引き返せばよかったのに。



そうしたら、あんなことにはならなかったのに。