バレない嘘をついてよ。


「うん……やっぱり、あずだ」



彼は優しく微笑んだ。



「もしかして、澪? 」

「そうだよ。……久しぶりだね、あず」




彼は、夏木 澪 (なつき みお)。
私の幼なじみ。


澪とは家が近かった。
そのこともあって、小さい頃からよく一緒に遊んでいた。



「……うん。何年ぶりだろうね」



澪は、中学に上がる前に引っ越してしまったからここ5年ぶりかな。




「引っ越してから全然、会ってなかったしね」

「うん。だから最初、澪とわかんなかったよ」




私と同じくらいの身長だった澪が、
いつの間にか私よりはるかに大きくなっていた。



顔も幼さが抜け、凛々しくなった。
でも、相変わらず……



「ほのぼのしてるね……」

「ん? 何か言った? 」

「何も言ってないよ。そーいえば、何で澪がいるの? 」

「俺、ここの高校に通うんだ」




……えっ?
今通うって言った?



「よろしくね、あず」

「うん! 」



澪と一緒なんて嬉しい。
私は笑った。