バレない嘘をついてよ。


「どうした? 」

「何でもない。ねぇ、そろそろ図書室閉めるんだけど……」

「わかった」



夜神はカバンを持ち、
図書室を出て行った。



私は窓が閉まっているか確認し、
図書室の鍵を閉めた。




「ねぇ、図書室閉めちゃった? 」

「えっ……あっ、はい」




突然話しかけられたもんだから、
驚いてしまった。



「そっか……。ねぇ、少しだけでいいから開けてくれない? 」



少しなら大丈夫かな。



「どうぞ」



私は鍵を開けた。



「ありがとう! 」



彼は満面の笑みを浮かべた。


この人どこかで見た覚えが、
あるような……ないような……。