バレない嘘をついてよ。


制服に着替え、家に帰るはずだった。


「何で今日に限って鍵を忘れて、お母さんはいないの……」


思わず独り言を呟いてしまった。

最悪。
せっかく、早く家に帰れたのに家に入れないなんて……。あっ、そうだ。

私はポケットからスマホを取り出し、通話ボタンを押した。


ーー♪ ♪ ♪ ♪

『もしもし、悠人? 』

『おー、梓か! どーした、お兄ちゃんの声が聞きたくなったのかー? 』


うわー、酔っ払ってる。
このときの、悠人の絡みは本当に面倒くさい。