バレない嘘をついてよ。


次の日の放課後。
私とカズキは部活がない日。



私はカズキを図書室に呼び出した。


窓からは、
暖かい日差しが差し込んでいる。




ーーガラガラ


ドアの開く音がした。



「どうしたの? 」



優しい笑顔を浮かべるカズキ。


その笑顔は何なの?



「……昨日、どうして来なかったの? 」

「あぁー、ごめん。あまりにも早く部活が終わって待てなくて、先に帰ちゃったんだ。ごめん」



申し訳なさそうな顔をして、謝るカズキ。


「……嘘つき」

「えっ? 」

「昨日、かなさんとキスしてたんでしょ? この……図書室で。私、見たんだ。浮気してたんだね」

「だから、何が言いたいんだよ」



低い声でカズキは言った。
優しい笑顔のカズキじゃない。


焦る素振りも見せず、
カズキはいたって冷静だった。




「……何で浮気してるの? 私のことが嫌いだから? キスだって私達、まだしてなかったのーー」




塞がれた私の唇。



「キスしたいだけなんだろう? 」



蔑んだ目つき。

こんなカズキなんて……知らなかった。



「……最低」



私は、涙を流しながら図書室を出た。