レオニスの泪


夜の内に、慧を見つける事は出来ず、家に戻り、当時の状況と慧が行きそうな所を再度細かく警察に話すが、子供の行動範囲は狭く、とっくに全部回っている。

「どうしてそんな夜中に家を出たんですか。」
「いつもこういうことがあったそうですがそれは一体……」

警察の訊き方も、鋭く胸に刺さり、それは仕方のない事で、自分が悪いのだということは百も承知しているのだが、分かってはいても痛かった。

自分の気持ちが辛くて、とか、そんなことが言い訳にはならない。
だって、自分は大人で、親で、慧は子供で、無力なのだ。

「葉山さんは、精神状態が不安定で、気晴らしの為に、散歩をしたり、自分の時間を取るよう勧めたのは僕です。」

神成が間に入って、フォローしてくれようとするが。

「先生……もう、大丈夫ですから。お仕事もありますよね……帰ってください。」

私は、そんな彼に帰るよう告げる。

「祈さん……。」

心配そうに下の名で、私を呼ぶ神成は、本当に、呆れる位、どこまでも良いひとだ。

「少し、席を外していいですか。」


警察に許可を請うと、了承してくれたので、神成を玄関に呼んだ。

「慧は私の息子です。先生には、関係ないことですから。」

そして、私は事実を突きつける。