木戸の車の中も捜索されたが、慧がいた形跡はなく、意識を取り戻した本人にも警察が問いただしたが、慧の行き先は知らぬ存ぜぬだったらしい。
そしてそれは、真実のようだったし、そうじゃなかったとしても、慧はここにいない。
問題は――
一番大きな問題は、私が慧を一人残して、家を出た事だ。
鍵は閉めて行った。
それは記憶にある。
ではどうして、慧は外に出ることになったのだろう。
答えは簡単だ。
私を捜しに出たからだ。
――どのくらい家を空けた???
何分?
何十分?
何時間?
狂ったように、近所を走り回って捜す。
警察や神成も、八方に散らばり、捜索している。
冬の匂いのする、冷たい空気を切りながら。
私は自分に罰が当たった、いや、そうじゃない。
これは、自業自得だと、戒めていた。
人的要因だ。
防げたことだ。
ただ、自分のことしか考えていなかった、私のせいだ。
今迄だって、私は私の為に、慧を置いて家を出ていた。
いつこうなっても、おかしくなかった。


