レオニスの泪


パトカーの数は4台。

赤いサイレンのライトが目に眩しい。


「失礼ですけど、お二人のご関係は?お知り合いですか?」

「えっ……と」

大体の流れを説明し終えて、怪我はないかという確認と、救急車の有無を訊かれた後、そう訊ねられて、一瞬詰まったのは私だけ。

「医者と患者です。」

メモを取りながら、警察官がチラと上げた視線に、神成はしっかりと応じた。

「あ、そうなんですか。因みにどういった???」
「精神科です。」
「あぁ、はぁ、そうですか。なるほど。はい。」

淡々と答える神成の答えは、正しいのだが、あったかかった気持ちに穴が開いて、しゅーと空気が抜ける音と共にしぼんでいく図が、目に浮かぶ。


「ところで、帰宅時に家の前に停車していたということですが、、、家の中は大丈夫でしたか?何か変わっていたりしませんでしたか?」

「――――――――――――」


バケツ一杯の冷水を、頭からぶっ掛けられたみたいだった。

背筋がぞくっとした、なんてレベルではなく。

体の芯まですべてが一瞬にして、凍ったのではと思う程、固まって。

そして、直ぐに混乱と爆発が起こった。


「慧っっ」


つまり、パニックだ。