何がどうなったのか、状況が呑み込めないまま、暫く茫然としていたが。
「祈さんっ、、!」
――え。。。
突然目の前に、私に向かって手を差し出す神成がいて、恐怖が驚きに変わった。
「ど……して……ここに……」
「――良かった……」
疑問を口にする私とは反対に、神成は安堵して。
「様子がおかしかったから、心配になって……追いかけて来たんだ。」
私を引き寄せ、ぎゅ、と抱き締めた。
くっついている場所から感じる、神成の鼓動が大きく聞こえてきて、その音が何より、私を現実に戻す。
「先生……」
「もう大丈夫だから。警察も呼んだ。」
そう言うと、神成は、私に車から出るように促した。


