時刻は零時ピッタリだった。
神成は私が一人で来るのは危ないと渋ったけれど、私が強硬に突っぱねたので、歩きで来ないことを条件に、マンションのエントランスで待っていると言ってくれた。
布団から飛び出した慧に、掛布団を掛けてやり、音を立てないよう、細心の注意を払って、玄関を閉めた。
鍵のガチャリという音も、極力抑えて、静かに抜く。
階段を降り、ふと見上げた空は、やはり星が沢山出ていて、中でもオリオン座がくっきりと浮かび上がっている。
神成と会ってから、空を見上げる回数が増えた。
それは胸を締め付けるような思い出で、苦しくなる。
――会いたい。触れたい。抱き締めたい。
神成がたった一人で、あの部屋に毎晩帰ってきていると思うだけで、切なかった。
忘れられない位。
似た人――自分――に構わずにはいられないまでに、アカリさんの事が好きなのに。


