レオニスの泪






ー推薦、か。


外に出ると、清々しい程澄んだ空気が、私を出迎える。

屋上から見た景色とは正反対だ。

一階から見上げると、屋上は見えない。

変わらないのは、空の青さ。


自転車置き場にとぼとぼと向かいながら、金森との去り際の会話を反芻する。


金森はチーフで、採用する権利はない。

だから、私が一度辞めて仕舞えば、次採用の保証はない。

だけど、推薦は出来るからああ言ってくれたのだ。

更には、木戸の事についても、一緒に闘おうとしてくれた。


なのにーーーーーー


金森には、世話になりっ放しになるだけなって、私は何も返すことができなかった。



自転車に乗る気にもなれず、荷物を籠に乗っけて、押して歩く。