「…僕が、君を、治すから。」


神成が、大泣きする私を見つめて、強く言い切る。


「祈さんがする事は、僕に頼ること。それだけ。」


ゆっくりと、まるで幼い子供に言い含めるように。


「わかった?」


ぐちゃぐちゃで、ぼろぼろで、ふらふらしている中で、神成の声だけが、はっきりとしていて、唯一真っ直ぐ突き抜けている。

まるで濃霧の中に射す、一筋の光みたいだった。


「何があっても、」


再び、私を抱き寄せて、神成がー


「絶対に、僕を、忘れないで。」


懇願するみたいに、切ない声で、言うから。


小さく頷きながら。


この人の方が、泣いているみたいだ、と。

いつか、真っ暗な空を見上げていた彼がそうしていたように。

涙を流さずに、泣いているんだ、と。

どうしてか、そう、思った。