どうして今夜は、これ程、神成の感情の起伏を読み取ることができるんだろう。

こんな風に、どこかしら、余裕のない、神成を見るのは、初めてだった。

でも、そんなことに気を遣っている余裕が、私にはなかった。
神成のおかげで、何かのタガが外れたようだった。



「…怖いんですー自分が…」


はらはらと、溢れていく涙は、いつからこんなに素直に私の感情と一緒に流れてくれるようになったのだろう。

小刻みに震える私の肩は、助けを求めている。


恐い。怖い。

慧を置いて行ってしまうことに、躊躇いを感じなくなってしまうことが。

それくらい、この社会に未練がないことが。

苦しいことばかりが続いて。

逃げ道がないように見える事が。



苦しくて仕方なかった。