「いた…」
寝ぼけていた感覚も、冷たい空気のお陰で目が覚めて、足の指先がビリビリと痛む。
痛い。
痛い。
痛い。
「…っっ…く…」
夢の中でも泣いて、その続きみたいに現実でも泣いて。
しゃがみこむと、止まらなくなる。
どうしよう。
自分がどうしたいのかが分からない。
ぐちゃぐちゃだ。
だけっどやっぱり好きなんだ。
神成の事が好きなんだ。
でも掴めない。
神成がどう思ってるのか知りたいのに、分からない。
どうしたらいいのか、この先が見えない。
「お願いだから、こんな遅い時間にそんな格好で、一人で外に出ないで。」
「!!」
泣き過ぎて、周囲の音が何も入ってきていなかった私は、突然降ってきた声に驚く。
ドッドッドッと心臓が飛び跳ねて、反射的に顔を上げると。
「………せん、せい…」
黒のモッズコートを着て、黒い傘を差した、神成が、私を見下ろしていた。
もとい、黒い傘は、私の真上にあって、神成は濡れている。
「無防備に居ないで。」
夜に浮かぶ、神成の表情は、やや不機嫌そうに見えた。
いつも笑っているような彼が見せた、初めての顔だった。


