「……顔、洗お…」
じゃんじゃん泣いた訳ではなさそうだけれど、顔がカピカピしているし、腫ぼったい気もしないでもない。
ーそういえば。
洗面所に立つ際、玄関前を通って、ふと思い出す。
ーさっき、物音がしてたような…
こんな時間にポスティングなんておかしな話だし、寝ぼけていただけかもしれない。
そう思いつつも、なんとなく気になって、ドアポストを開いてみた。玄関の電気は付いていたけれど、恐る恐るという感じに。
「ーー!」
パサ、と落ちた「何か」に驚き、一瞬たじろぐが、直ぐに生き物ではないと分かると、一気に安心と脱力がやってくる。
「驚かせないでよ…」
八つ当たりながら、慌てて拾い上げてみると。
「これ…」
どんなに探しても見つからなかった、チャルダーマンの青いタオルが、丁寧に折り畳まれた状態で、ビニールに包まれている。そしてそのビニールには、水滴が付いていた。


