気が動転してたといえば、してたけれど。


家を見回した時、いつもと変わった様子はなかった。


物は増えてないし減っていないし荒れてもいなかった。



だから。


恐らく何か【された】のではなくて。


何か【言われた】のか。


それとも。



会った事で記憶が呼び覚まされたのか。



「朱李…」




何を言われたの。


何を言われたから、信じたの。


自分が要らないって思ったの。


僕は、言ってたのに。


僕には君が必要なんだって、言ってたのに。


どうして、君を傷つける人間の言葉を、信じたの。


どうして、君を傷つける人間の方が強いの。



僕の言葉は、君に伝わっていなかったの。




そのひとつも。



その、どれかひとかけらでも。