朱李が小学校に上がった頃。
父親と母親が離婚した。
朱李を引き取ったのは父親だったが、直ぐに再婚。
だが、昔から手を上げる父親の暴力はエスカレートしていき、バスタブの中に隠れる彼女を引きずり出しては、虐待した。
継母は、悪い人では無かったが、朱李を助けられるほど強くも無かった。
中学に上がるとそれは別な方向へと向かい、常に監視され、軟禁状態の日々が続く。学校にはほとんど通えなかったらしい。
そんなある日、父親が事故に遭い、下半身不随の状態になった。
朱李は、その時に初めて息が出来るようになったと言った。
その後、父親の承諾を得ないまま、着の身着のままで家を出、親戚の家を頼り、実母と連絡を取り合い、なんとか今の生活を続けている。
今は平穏な毎日で、何も不足していると思わない。
それでも、まだ。
時折、死んで消えてしまいたい衝動に駆られるのだと。
朱李は、僕の腕の中で、震えながら。
自分自身に怯えながら、吐露した。


