『俺も卒業する時は知らなかったんだよ。でも、こないだたまたま大学に行く用事があって、アカと今学年が同じ後輩にチラリと聞いたんだよ。噂なんですけどって。』
だが、限りなく真実だろうと、岩崎は言った。
「朱李…」
腕の中で、強張る身体が、せめてもう少し力を抜けないか、と願うのに。
「病院、、行こう?」
結局僕の言葉で、硬い身体が更に硬くなって、そしてあろうことか、僕の胸を伸ばした手で突き放した。
「病院て、なに?」
心なしか、顔色が青ざめているのは、蛍光灯のせいか、体調が悪いのか。
睨むふたつの瞳に、僕の知る朱李は居なかった。


