レオニスの泪

思えば、あの頃から。


新緑の季節の、あの中庭で、出逢った頃から。



彼女の中に《彼女》を見ていたのだろう。



それは無意識過ぎる程自然に、僕の《一部》を成していて、気付くのが少し遅れた。




二度と会う事がなければ良かったのかもしれないが、再び会うことになるのではと、予感みたいなものを僕は持っていて。



それが、ああいう風に言葉となったから。



僕は、彼女に投げかけたんだろう。


世の中ではそう言うのを、予感ではなく、期待と呼ぶのかもしれないけれど。



そうして、それは、恐らく。

彼女の中で、起爆剤の様な作用をもたらし、ぎりぎりの境界線を。

いや、破断界をー

限界によってバラバラに壊れてしまった自分をー

その、事実を。

否が応でも、認識させる、きっかけとなったようだった。