レオニスの泪

「放って置くと、今より苦しくなる。僕、ここの精神科の医者なんだ。暫く通う事をお勧めするよ。」

そもそもこんな所にいたからには、どこかの科にかかっているのだろうが、今回の発作に慣れている感じはないのを見ると、精神科ではなさそうだと踏んだ。


そしてその読みは当たった。


「精神科?結構です。そんな暇ありません。」


ふざけるなとでも言いたげな表情で、叩きつけるように返事がくる。

僕の事を真っ直ぐに見返す目に、芯の強さが宿っている。


ー大体の人と同じ事を言うなぁ。


残念ながら、この社会で、精神科は弱い人間が行くものだと、位置付けられていて、診察を勧めると多くの人間は一度は必ず言う。

そんなのは逃げだと。

そんな風に落ちた人間になりたくないと。

がむしゃらに頑張っている人程、そう言い、頑なになる。



それは今まで何度も乗り越えてきた糧があるからこそ。


そして、そういう人程、深刻な事態に陥り兼ねない。