レオニスの泪

ー帰ったんだ…



御礼も何も言ってないのに。


恐らくまだ仕事中だっただろうに、気を失った私をどうやって車に運んだのか。


そして、慧を迎えにまで行ってくれて、家まで送りー





「温くなってる。」




額に貼ってあった湿布を剥がして、見つめた。



どれだけ、迷惑を掛けてしまったんだろう。




「…あ、もうこんな時間。お腹すいたでしょう。今から作る…」



ふと確認した時刻は19:12を表示していて、慌てる私。




「だいじょうぶ。さっきの人がご飯買ってくれて、僕食べた。」


「えっ…」



ふらつく足取りでなんとか、立とうとする私を、慧が遮った。




「ママの分もあるよ。」





トタトタ、小走りにテーブルに駆け寄り、ビニール袋片手に下げて、戻ってくる。



「なんか、しょうかに良いもの、食べた方が良いんだって言ってた。あとのどごし?がいいものとかって。」



慧から受け取って、中身を見ると、生の果物や、ゼリー、プリンがゴロゴロと入っていた。




「僕は、好きなの選んで良いって言われたから、いくらおにぎりとねぇ、肉まんとねぇ、唐揚げ食べた!」


滅多にコンビニで買ってもらえない慧が、頬を緩ませて、得意げに教えてくれる。