レオニスの泪


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「あー…ごめんね。あれは、ちょっと嘘吐いた。緊急事態だったから。」



微かに、揺れている。



なんだろう。この、感じ。


車?




「悪い人???」



「多分、悪くない方に入ると思う。あのままだったら、君のお母さんは迎えに行く前にどこかで倒れてたかもしれないし。」



段々はっきりと輪郭を現してきた話し声。

何だっけ。



「じゃ、ママの何?」



えっと。


そうだ、慧の声だ。


もう片方は…



「難しい質問だな。病院の先生とも言えるけど、こないだからそうじゃなくなってしまったし、ただの通りすがりの人と言ったら、かなり語弊があると思う。」


先生…神成の声に、確かに聞こえる気がする。



「ごへい???」




そう言えば、私、どうしたんだっけ…




「誤解されてしまうって事だよ。」






「っあーーーーーーー!!!!!!」




あまりの衝撃に、重たい身体が飛び起きた。