葵と別れて、教室の前で待ってる2人のもとへ向かうと、なんだか異様な光景が広がっていた。
女生徒の皆さんが構えるのはスマホ。
シャッター音が聞こえるから、多分写真を撮ってるんだと思う。
他でもないお二人を。
……うん、何て言うか、それに対してノーリアクションな2人が恐ろしい。
だって撮られてるんだよ???
しかも皆さん写真を撮っているとは思えないほどの真剣過ぎる表情。
そして聞こえる、嬌声とも怒号ともつかない声、声、声。
『キャァァアアアア!!』
『超イケメン!超イケメン!!』
『霖也ー!!こっち向いてー!!!』
『ちょっと押さないでよ!!!!!!』
『霜也くん笑ってーー!!!』
『前の人邪魔ー!!しゃがんでよ!!!』
カオス、とはこういう事を言うんだね。
ていうか霖也なんでピースしてんの??
ノリノリじゃない
え、なんか脱ぎ始めたんだけど!?
ファンサービス良すぎでしょ、、、、、
もの凄い近寄りがたいのだけど、、、どうしたらいいのかしら、これ。
皆さん眼光が鋭すぎ。
大丈夫??
瞳孔開いてない????
あれ、1人倒れた。
傍観していると、
「おい、なに遠い目してる」
霜也に気づかれた。
「あ、霜也」
「帰るか」
「霜也はしなくていいの?」
「は?」
「脱いだりとか」
「するわけねーだろ」
「うん、だよね」
ふと、ある疑問が浮かんだ。
「ねえ霜也。自分たちが何でこんなに人気なのか、考えたことある?」
「………顔だろ」
「自覚、してるんだね」
「さすがに15年も生きてれば分かる」
「うん…ごめん」
「なんで謝った?」
「なんか、、、苦しい」
謝らなくちゃいけない気がした。
本当に苦しそうで、それが私にまで伝染したみたいで苦しいの。
「気にすんな、何でもないから、今の忘れろ」
「ありがとう…でも、忘れない。
私、2人のことが知りたいから、知ったことは絶対に忘れたりしない」
「なんで知りたいんだよ。
言っとくけど、俺たちに関わるとロクな人生送れねーぞ」
「いいの。もうとっくに、ロクな人生じゃないから」
そうだよ、とっくに壊れてる。
悲劇は綺麗だ。
人間の涙というのは、ある種神秘。
2人が惹かれるのは、見た目だけではないと思う。
悲劇的な人生を送る人は、不思議と綺麗に見えたりする。
2人が惹かれるのには、それも関係しているのかな……?
そうだとしたら、それも残酷。、
霜也を見つめるけど、その目は霖也に向かっていて。
霖也は…?霖也はどうして、あんなにイキイキしてるの??
…あれ?モテたら普通嬉しいよね…?
ダメだ。深く考えすぎて、当たり前のことが分からなくなりそう。
霜也は何処か切なげな顔をしていて、それとは対照的な霖也のイキイキとした表情。
白と黒。
光と闇。
改めてその違いに触れて、
単純無垢を拒絶するみたいな、頑なな2人の意思が見えた。


