1/2~あなたに捧ぐ花言葉~








「ただいまぁ」

『おかえり、満桜ちゃん』

「ねぇねぇ、咲良さん!雅貴さん!」

「そんなに慌てて、どうしたの?」


咲良さんが可笑しそうに微笑む、

それを優しげな眼差しで見る雅貴さん。


この2人の間の空気はいつも通り

甘い。


「屋上で助けてくれた人の話したよね?」

「あぁ、花言葉の彼か」

「そう!その人ね、同じ高校みたいなんだ!!」

「へぇ、よかったね満桜ちゃん。やっとお礼言えるわね」

「うん!…でも…どっちか分からないんだよね…」

「ん?どういうこと?」


私の言葉に2人が首を傾げる。

夫婦は似るって本当なんだなぁ、って、2人を見てると思う。

私もいつか、こんな風に好きな人が出来るのかなぁ…――――


「……ん…おちゃん、満桜ちゃん!!」

「っ、!!」

「もう、満桜ちゃん、考えだすと固まって周りが見えなくなる癖、変わらないよねー」


いけない、自分の世界に入ってしまった。

2人とも苦笑してるし…


「ごめんごめん…えっと、どっちか分からないって話だったよね……あのね―――」










2人に説明しながら、私は思った。

確かに、鎖骨にホクロは、重要な手がかり。

でも、霖也と霜也を見たとき、どちらにしてもあの彼のような、清らかさは感じられなかった。


あの時の彼は、とても朗らかで

本当に純粋無垢という言葉が似合うような人だった。


対して

霖也は、面影はあるものの、その笑顔は朗らかとは程遠い、色んな物を隠した笑み。
表面上は明るくても、闇が見え隠れする。

霜也は、面影はあるのに、笑顔さえ無かった。瞳は曇り、あの時より遥かに広く、たくましくなった背中は、全てを拒絶するようだった。



顔も、ホクロも、彼なのに



中身を何処かに置いてきてしまったかのように、2人とも、全く違う人。




一体彼は、どちらなのだろう。




それとも、どちらも違う?




私は彼に逢わなきゃならない。





その為には、彼らに近づくことが先決。





きっと、私が見つけてみせる。





あの時の彼を―――――






変わり果ててしまった彼らの中に。