1/2~あなたに捧ぐ花言葉~





固まる私のことなんてお構いなしに、2人は話す。


「はあ……、どうでもいいけど、霖也、
この煩いのどうにかしろよ」

「んー、無理」

「俺行くから」

「おー、俺もそのうち行くわ」


もう1人の黒髪の彼は告げるやいなや、踵を返して行こうとする。


それを私は見送……



っちゃダメでしょ!!!




「あの!」



周りの声に負けないように、必死に呼び止めた。

すると彼は、ちゃんと振り返ってくれた。


「…なに?」



……かなり嫌そうだったけど。



「名前!まだ聞いてない!!」

「別に知らなくてもいいだろ」

「良くない!!私は知りたいの!!!」

「はあ……霜也(そうや)、これで満足?」


本当に渋々って感じ。


…それにしても、私は叫ばないと自分の声さえ聞こえづらいのに、2人は叫ばなくても、明瞭に聞こえる。

よく通る声だなぁ。


「うん!ありがとう!!私は満桜!!

よろしくね!!!」

「別に聞いてねーよ」


そう言うと霜也は背を向ける。


見送る気持ちでいると


彼は呼んでいないのに振り返った。


「…1ついい忘れてた」

―――ザァッ


その時窓から風が入って、


霜也のワイシャツの襟がめくれた。


「俺、女嫌いだから、それだけ覚えとけ」

「っ…!」


彼の言葉は聞こえていたけど、


私はそれ以外のことで頭がいっぱいになっていた。


だから、『近づくな』という意味だとは全く分かっていなかった。







―――だって、


向かって左側



霖也と同じ、



星型のホクロがあったから。






『誰かに似ている』



なんて、



私の心に記憶に残るような男の人は


1人だけ、




彼しかいない。