“───自分からいかんでも、まわってくるから”
回転寿司に行ったらさ、なにする?
あたりまえやけど、
席にすわるんがふつうやんな?
ほんじゃあ回転寿司やから、
お寿司が勝手にまわってくる。
自分がうごかんでも、
自分のとこにまわってきてくれる。
……それってさ、“死”とおんなじじゃない?
“死”って、いつかはやってくるもんやん?
だれにだって、ぜったいやってくる。
やのに、なんでそれをまてんと
自分から“死”をえらんでしまうん?
食べたいネタをさ、わざわざ立ってまで
自分から取りになんいかんやろ?
だって取りにいかんでも
まわってきてくれるんやもん。
それとおんなじやで。
つらいかもしれんけど、まってほしい。
それをまつんがしんどい。
わかってるで。
でもな、それだけはえらばんといてほしい。
どうでもいい命なんか、
いらん命なんか、
そんなんぜったい、
ないんやから───。
『回転寿司』 END★