「まさかここで出会えるとわな」

そういった霧夜の表情は明るかった。
例えるなら、子供が新しいオモチャでも貰ったかのような。

「優羽、違う所行こ?」
「うん」


優羽と愛羽は光龍を無視し屋上を出ようとした。


「話があんだけど」


ずっと黙っていた柊夜が口を開いた。
優羽達は喋らないものの目線を柊夜に向けた。


「神無月組の裏情報も掴めるのか…?」


そんな柊夜の言葉に優羽は黙る。
通り名の通り表の世界の情報屋は愛羽。
裏の情報屋は優羽なのだ。
表と裏と言っても、表が族、裏が組だ。



「掴める…じゃない、持っているわよ…」


声を絞り出したかの様に喋る優羽。
優羽の言葉に柊夜は下げていた頭をあげた。