「いい、そのままで」 引きかけていた手を千鶴くんの手に捕まれる。 そして、またもとの位置に戻った。 「千鶴くん、ご飯行くよ」 優しく問いかけるも、眠いのか目がトロンとしている。 「千鶴くーん」 髪の毛を弄りながら、呼ぶと 「千奈美」 いつもは、亀と争うぐらいスローに動くのに今日はそんな隙を見せずに瞬時に立場が逆転した。 千鶴くんの顔が、あたしの上にある。 背中には、さっき千鶴くんが寝転んでいた畳が広がっている。