「とにかくどっか行け、俺は今から寝るんだよ」
「そ、そんなぁ」
ガシ
「お前なぁ」
っていつの間にか正座してるし。
「お願いします!!扉が開くまでここに置かせてください!!」
ええ……。
「やだ」
「そんなこと言わずに!」
「絶対やだ!」
「必ずお役に立てると思うので!!」
「絶っ対にやだ!!」
「いいと言ってくれるまでここを一歩も動きません!!!」
「はぁ?」
それから。
1時間経過。
「…………」
「…………」
2時間経過。
「…………」
「…………」
3時間経過。
「…………」
「…………なぁ」
「はい」
「もう0時なんだが」
「そうですか」
「いや、そうですかじゃなくて…」
「寝ればいいじゃないですか」
「俺の家のバルコニーに危ない変質者がいるんだぞ?安心して寝れるわけねぇじゃねぇか」
「なっ!!変質者って!!」
悔しそうに唇を噛むペガサス・レディゴット。
「……仕方ない。これだけは見せてはダメだったんだけど」
「じゃあいい」
「ちょっとー!!」
「…………」
「誰もが私が女神だと信じて疑わないような決定的な証拠見せます!!」
そういうが早いか再び目を閉じて何事かを祈るように胸に手を重ねぶつぶつと呟き始めた。
「…………!」
バサリ
目を開いたペガサス・レディゴットの背中には純白の翼が広がっていた。
「これでわかりましたか?」
「…………(こくん)」
「私、空も飛べるんですよ!!」
…へぇ、と思いかけたとき、俺は思い出した。
「そういえば…お前、落ちてなかったか?」
「………!!!!」
「空を飛べるなら、落ちてこないはずだよな」
「そ、それは…」
「それは?」
「扉を通過するとき翼を傷つけたっていうか~、折れたっていうか~、まぁ今は休止中です」
お前、ほんとに大丈夫か?


