遠いあの空の下で...

私は、ドキッとした。図星だったから。でも、それを言ってしまったら自分じゃなくなる気がした。先輩は、真剣な目で私の目を捕らえていた。怖い...そらしたいけれどそらせない。私は泣きそうになった。このまま先輩の目を見ていたら心の奥まで全部覗かれそうだったから。先輩は、気づいたのか私の肩を掴んでいた手を離し、「ごめん。」と言い、先輩は残っていたコーヒーを一気に飲み干した。私は、先輩に聞きたかった事を聞いた。「先輩...先輩が歌っていることを、親は知っているんですか?」「知らないと思う。俺は昔から、歌をうたったり楽器を演奏することが好きだったから、ただの趣味だと思っているのかな。」「そうなんですか...。」私は、それ以上何も言えずコーヒーを一口飲んだ。その時のコーヒーが、ほんのりと苦く切ない味だった。