夜に彼女がいた事には驚いたけど、幸せならいいかなって思える。
皆そんな感じで生きていくんだろうし。
幸せならそれでOK。いつも私はそう思うようにしている。難しい事は一切考えない。その方が気も楽でしょ?
何だかんだとゴタゴタしている事はあっても、すぐに何とか収まってよかった。
「桜、遅刻すっぞ~。」
「まってまって、今行くから!」
ちょっと寝坊して、私は朝食をとる時間が少なかった。そのため時間ギリギリまで食べていたので、遅刻ギリギリ。
「走れっての!」
「走ってる!」
先を走る夜の後を追いかけて、私は一生懸命に走った。
教室に入ったのは始業チャイムギリギリの時間帯。遅刻しなくて良かった…
席に着いて、朝のSHRが始まる。
そしてまためんどくさい一日が始まる。
授業は眠いし、ちょっと難しいし…
勉強は嫌い。


眠い目をこすりつつも、何とか授業は終って放課後に。
面倒な事は起きなくてよかった。
何事も無く過ごしていけるって幸せなんだよね。

でも、隣のクラスでいじめがあった。
いじめの主犯は、自分の親が社長で自分が一番といってた。
そんな事あるわけ無いのに…
だってそうでしょ?自分で手に入れた地位でもなんでもないのに、何で自分のものと思い込んでいるんだろうね。
私にはそれが理解できない。
なんて言えばいいんだろうね、上手く自分で言い表せないや。
でも、明らかに自分の力で手に入れてないものを自分のもののように扱うって…なんかおかしい様な気がする。
どんな風にあらわすのかまだわからないけどね。


「桜?大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。」
「どうした?いきなり黙り込んで…」
「幸せだなって思ってただけ。」
「いきなりなんだよ。」
軽く遼は頭を撫でてくれた。
何か、遼に頭を撫でてもらうのが日課になってる気がする。
好きだから良いけどね。
「隣のクラスのいじめは何とかなったのか?」
「うん、保護者が来て退学した。被害受けていた子はもうきてるけど、しばらくは保健室とかに通うみたい。」
いじめの主犯の子はあっさりと引き下がった。逃げたように私は感じる。
「そっか。」
「うん…」
「あんまり気を落とすな。桜のせいじゃない。」
「そうだけど…」
「それに、いじめの被害にあってた奴が言ってたじゃねぇか。ありがとうって。そんな暗い顔してんな。」
「…もっと早く見つける事が出来れば良かった…」
何でもっと早く気がつかなかったんだろう。
もっと早く気がついて入れば、少しでも被害が少なかっただろうね…
無力だな私…
「無力とか思ってるだろ?今の自分の事。」
「何でわかるの?」
「いつも見てるからな、でもそんな事思うな。そうやってマイナスばっかり思ってんじゃねぇよ。実際何人もの生徒が桜に救われてる。それだけは覚えとけ。」
「わかった。マイナスに考えないように頑張るよ。ありがとう遼。」
「どういたしまして、幸せなんだろ?」
「うん。そだね。」
会話が全く繋がってないような気がする。でもいいや。


お母さん達も、こんな感じだったのかな?
お母さん達の高校生時代の話って聞いたこと無いや。帰ったら聞いてみよっと。