桜が帰ってきてからなんか様子がおかしかった。大方、上村と付き合う事になったんだろうな。桜はわかりやすいからな。
桜が自分で決めた事には口出しはしないが…相手が上村って事が何かムカつく…
《俺明日告るから。》昨日上村にそう言われた。だから今日桜に言う事は知っていた。何で俺に言ったのかはいまだに理解できないけど、桜を泣かす事だけはゆるさねぇ…
『夜?何いきなり黙り込んでんの?』
「いや、なんでもない。」
『どうせ桜さんのことだろうけど、電話してる時くらい彼女と話してくれても良いじゃん。』
「拗ねるなって、桜に彼氏できてさ…」
『そういうことね、シスコンだもんね夜は。いい加減にしろってくらいの。』
電話口でけらけら笑いやがったなこいつ。
「シスコンで悪いかよ。桜はいつもいじめの対象になってたんだから…」
『基本的にそれって夜の過保護のせいじゃない。桜さんだってもうそこまで子供じゃないんだし…妹離れしたら?』
結構痛いところを言われて心が傷ついた。
確かに俺のせいだとは自覚はしてるけど、そこまではっきり言わなくても良いじゃねぇか。
「そればボチボチ考えてたし、気にすんな。」
「夜ー、ちょっといい?」
「おー、いいぞ。んじゃ、桜来たから。」
『はいはい、また明日ね。おやすみ夜。』
「あぁ、おやすみ。」
電話を切った時に、桜は入ってきた。
「あれ?電話中だった?」
「いや、終ったところだしいいよ。どうした?」
携帯を閉じて、机に置いた。桜は座布団に座って、桜はもごもごと何かを言おうとしては口を閉じたり開いたりして…それを何度も繰り返していた。
「えと…///」
「上村と付き合う事になったんだろ?よかったな。」
桜は思いっきり驚いていた。何で言ってないのに知ってるのかって聞きそうだな。
「何で知ってるの?!」
ビンゴ。本当にわかりやすいなぁ…
「上村が昨日桜に告るって、報告してきた。だから結果は見えてた。泣かされる事の無い様にな。泣いて帰ってきたら俺が上村をシバく。」
「それもどうなの?!でもありがと。」
フニャっと笑う桜の笑顔は、身内の俺から見ても可愛いと思える。こんな事思ってるからシスコンといわれるんだろうな。
桜のこの笑顔が消えないように、俺はそう願ってたけど心配は要らなさそうだな。上村と付き合うって今日わかった事だけど、今まで以上に桜の笑顔は綺麗だった。
良かったな桜。