次の日
教室で授業の準備をしていたら、夜がやってきた。
「桜、これ忘れただろ。」
夜が片手に持ってたのは私のお弁当箱。鞄に入れ忘れてたみたい。
「ありがとう夜、てゆうか教室に入る前に渡して欲しかった。」
お弁当を受け取って鞄にしまった。
「教室に入った時に思い出したんだよ。忘れたお前が悪い。」
「今日は一段と意地悪…」
「気のせいだ。んじゃぁ、また昼休みな。」
ポンッと頭を叩いて、夜は自分のクラスに戻った。
夜の姿が見えなくなって、すぐにまた夜の取り巻き立ちがやってきた。もうめんどくさい。
「今日はなんですか?」
「いい加減に学校辞めればいいのに。貴方さえいなければ全部上手くいくのに!」
何か逆ギレして片手を振り上げた。
あぁ~、叩かれるかも。嫌だなぁ。痛いの嫌いなのに。
叩かれるのわかってて、私が黙って叩かれるの嫌だし。振り上げられた手を簡単に受け止めた。
「離しなさいよ!」
「なら殴るなんて事しないでください。何もしていないのに何で殴られなきゃいけないんですか?いい加減にして欲しいんですけど。」
手を離してたら、少し後ろに引き下がった。クラスの人達も黙り込んで、私達の方を見ていた。
「猫っかぶりなのね。なのになんでこんな奴がモテるのよ!」
「別に猫かぶりな訳じゃありません。関わりたくないだけです。勝手に人の事決め付けて、逆ギレしないでください。別に私は人と付き合うとかどうでもいいんです。何も知らないような人と付き合う気は無いんです。貴方の好きな方が私の事好きだからなんですか?私にはそんなこと本気でどうでもいいんです。私には関係ありません。」
「この二重人格!そんなんだから友達いないんでしょ?!」
「表面上の友情なんていりません。一人でいいんです。偽りしか見せない人は嫌いです。もういいですか?私本読みたいんです。」
机の中から本を取り出して、続きを読もうといた。でも出した時の違和感。
本がボロボロだった。ちょっと待ってよ。これ昨日買ってきたばっかりなんだけど…しかもまだ途中だったのに…出たばっかりだったのに…
流石にこれには私キレるよ~?てゆうかもうキレていいよね?
「これやったの誰ですか?」
「さぁ?別の本くらいどうでもいいじゃない。新しく買い直せば…「ざけんな…」はぁ?何か言った?」
新しく買い直せ?そう言ったよね?これ買うのにどれだけ苦労したと思ってんのさ。
結構人気で、取り寄せるのにかなり時間かかったってのに…
「弁償してください。これ買うのにどれほど時間かかったと思ってるんですか?」
「弁償?私がするわけ無いじゃない。本代くらい簡単に出せるんでしょ?教科書を何度も買ってるんだからね。」
鼻で笑って言う奴と、周りでクスクス笑う奴等。それを見て私の中の堪忍袋が切れた。
「いい加減にしろって言ってんのが聞こえないのかよ!どいつもこいつも幼稚園児か!やってる事が幼稚園児並なんだよ!もう完全にキレた!今までの教科書代金とこの本代全額返しやがれ!」
机を思いっきり叩いて怒鳴った。
その行動を見ていた人達皆驚いていた。視界の端で上村さんがいたけど、教室からなんか出て行った。
「なによ!逆ギレじゃない!」
「キレたくもなるに決まってんだろ?一体いくらしたと思ってんだよ!全額返しやがれ!」
「桜ストップ。落ち着け。」
引き下がった女子達を追い詰めるように、攻めていたので女子達は廊下側の壁に背中が当たっていた。
前のドアから入ってきたみたいで、私の頭をポンッと叩いたのは夜だった。
「何をそんなにキレてんだ?」
「こいつらが本を買い直せばいいって言いやがった。昨日届いたばっかりなのに…しかもこれ取り寄せなきゃ売り切れなんだよ?また取り寄せるとしたら二ヶ月待ちなのに…」
「わかったからとりあえず落ち着け。言葉悪くなってんぞ。」
「別にいいよ。後悔させる事ができんならね。」
「この子がさっき全額返せって言ったのよ!」
「お前らが教科書ボロボロにしたんだから、弁償しろよ。」
「なによ!証拠ないじゃない!」
「俺見てたけど?お前らがやってる所。写メもある。これ、校長に提出したからお前らの親ももうじき来るから。腹くくれば?」
上村さんは携帯を取り出して、一枚の写メを出した。それを見て、女子達は青ざめていく。
いや、撮ってるなら止めて欲しかったんだけど…
「なんで…」
ガラッと教室のドアが開いて、数人の親が入ってきた。何か見覚えあるような気がする。
誰だっけなぁ…
「真奈美!あんた何してるの!」
「お母さん?!」
「いじめなんてそんな事しちゃいけないって何度言ったのよ!そんな子に育てた覚えは無いわ!」
「由美子、貴方いつも学校でいじめは無いって言ったわよね。嘘ついてたの?」
「違うよママ!」
あぁ、思い出した。お母さんのお友達だ。
入ってきた親達は、私と夜をみて頭を下げた。向こうも気がついたみたい。
「桜ちゃん、うちの娘がごめんなさい。教科書と小説代は責任もって娘のお金から弁償させていただくわ。」
「お母さん!何でそんな奴に頭なんて下げるのよ!」
「真奈美、この二人は私の同級生の子たちよ。何かしらと色々お世話になったの。そんな子に何してるの!」
あ~、何かめんどくさい事になりそう。
説教されてるのを見て、私はとりあえず鼻で笑い返してやった。
ざまぁみろw