どうも、鈴木夜です。俺は今授業中。
まぁ先生の話しは聞いてないけどな。つまんねぇし…
あくびしながら窓の外を見ていたら、一人の生徒が下校していた。
早退する奴いんだな、羨ましい…とか思ってたけど違和感があった。
何かどっかで見覚えのある後姿…とか思ってたら、桜だった。あいつ先に帰りやがった…帰ったら覚えてろよ…

高校入学してから、昼以外は俺は桜以外の友達といる。けど、ここ最近桜の様子がおかしい。家に帰るなり、本屋に行って来ると言う回数が増えた。別にあいつは本を読むって事はしないのに。一度俺も行くといったら、断固拒否された。そん時は少し傷ついたけどな。
それ以外にも、昼休みが終って教室に戻る時の桜の表情が暗い。教室で何かされてるとか…いじめられてるのかも…と思った。一度桜に聞いたけど、そんなことは無いよって言われたからそれ以上聞けなかった。
あーもう!何なんだよ!

「夜~、今日一緒に帰ろうぜ!」
「無駄だって、桜ちゃんと帰るだろうしw」
「桜ならもう帰った。」
「マジで?!せめて近くで見たかったのに!!」
「一回死んで来い。」
「夜が怖い!!」
友達の竜也と優斗がそう騒いでいた。
桜は結構人気だ。なんかわからねぇけど、大人しくて守りたくなる可愛さがあるって…あいつそんなに大人しくはないけどな。
でも俺は唯一桜に勝てない事がある。
それは学力だ。中学からずっと俺は桜に勝った事がない。いつも学年一位をキープしていた。でも俺は桜が勉強しているのを見たことは無い。桜が言うには、教科書を読んだだけ…の一言だ。
だから俺はテスト前になると、桜に解けなかった問題を教えてもらう。そんな感じで今までやってきた。高校入学の時の新入生代表も桜が行なった。
そんな桜はよく女子に僻まれる事が少なくはなかった。中学の時も、校内で人気のある男子生徒から告白されても全員断ってた。
相手を知らないのに好きになれないと、そう言って断っていた。
「桜ちゃんって、本気で可愛いよな!」
「彼女にしたい女子No.1になってるぞ。」
「そこまで人気なのかよ…」
「でもさ、ここ最近の…「鈴木夜ってお前か?」あれ?上村。」
「俺だけど…なんか用か。」
「鈴木桜だけど…」
「桜になんかあったのか?」
「お前のせいであいつ女子からいじめ受けてるってわかってんのか?」
「俺のせい…どういうことだよ。」
いじめはやっぱり受けてたか…でもそれが俺のせい?
「お前がいつも昼一緒だから、鈴木はいじめを受けてんだよ。兄ならわかんだろ?!わかってないとは言わせねぇぞ!」
上村って奴は、そう叫んで俺に訴えた。
いきなりの出来事で、竜也と優斗は驚いていた。クラスの奴等も、話してたけど俺たちのほうを向いた。
「事情を話してくれないか?俺桜に聞いても桜は何一つ話してくれないんだよ。」
「鈴木は入学してから、校内で人気のある先輩やら男子から告白されている。でも全員断られている。断られた腹いせで、その告った奴等が嘘を広めたわけじゃない。その一部を見ていた女子達が、鈴木を恨んだ。それだけだ。」
中学の時と同じことが起きていた。まさか、そんなことでなるなんて思っても無かった。
「そうか…わかった、もう一度桜に聞いてみる。」
「お前だけなんだな…鈴木がタメ口なのって…」
「はぁ?」
意味わからねぇ。いきなりなんだよ。
「俺さ、鈴木が帰るって言ったとき追いかけて少し話したんだよ。でも敬語だったし、視線が何か冷たかった。それ以外にも、他の奴となんか話していても敬語だった。」
「家ではそうでもないけどな。色々とあんがとな。家に帰って桜と話すよ。」
「俺もなんかできんなら協力すっから。」
「おう、よろしく。」
上村に礼を言って、俺は鞄を持って走って教室から出て行った。
昇降口に向かう途中で、俺は何人かの女子に囲まれた。
「鈴木君、一緒に帰ろう?」
「悪いけど俺急いでるんで、断る。」
「桜さん一人になりたいみたいよ?」
何でこいつがそんな事言うんだか、そもそも桜がそんなこと言うわけない。桜が一人になるときは、何か必ず一言言う。それが無いって事は、何か嫌な事があっただけだ。
「桜はそんな事をお前らに言うわけない。言うとしても、直接いいに来る。」
「そんな事無いわよ、一人が…「そうか、お前等が桜をいじめてる主犯って事か。」そんなわけ…」
言葉を濁らせて、目を逸らす。見る限り、図星だろうな。視線は正直だ。言葉じゃなくても、人の目を見ればほとんどわかる。
「桜が何もしてい無いってのに、お前らのくだらなくてどうでもいいような感情の吐き所に桜を使ったってか?」
「くだらないって…鈴木君酷いよ!」
「俺が桜といるのが気に食わないんだろ?そうだって、桜のクラスの奴等に聞いた。」
「いつも桜さんと一緒じゃない!それにあの子は調子に乗って…」
「調子になんて、桜が乗るわけ無いだろ?お前らの逆恨みじゃないかよ。ふざけんな。」
睨みながらそういったら、女子どもは涙目になった。
別に同情とかは無いけどな、自業自得だ。
「桜さんの何がいいのよ!」
「妹だから守るのは当たり前だろう。それに、俺は影で姑息な真似している奴等が一番嫌いだ。もう桜と俺に関わるな。」
俺は靴を履き替えて、校門へ急いだ。走って帰るつもりだったけど、迎えが来ていてちょっと楽できた。
「おかえりっす、ぼっちゃん!」
「ただいま、桜は家にいる?」
「嬢さんなら帰ってきやした、坊ちゃんに話しがあるそうで。お迎えにきやした。」
車に乗り込んで、家に向かった。
桜が話しある…か。珍しい事もあるもんだな。どうせあいつは俺に怒られるとかも思ってんだろうけど。
一体なんだ?

=家=
「「お帰りなさい坊ちゃん!!」」
「ただいま、桜は?」
「嬢さんなら部屋にいるっす。」
「ありがと。」
桜のいる部屋に向かった。
途中で母さんがいたけど、母さんの表情が何か怖かった。笑顔でお帰りって言ってたけど…うん、こりゃかなり怒ってる。桜の事情知ったのかも…
「桜ー、入るぞー。」
桜の部屋のふすまを開けて、中に入った。
中に入ると桜は気まずそうな顔をして、一瞬顔を逸らした。
「桜、話しって何だ?」
「えっと…その…」
「いじめだろ。桜さ、いじめられてんだろ?」
「なんで…」
「上村って奴が教えてくれた。桜と同じクラスなんだってな。全部教えてくれた。」
「そっか…聞いたんだね。言わなくてごめん。心配かけたくなくて…」
心配かけたくないか。一体俺はその言葉を何回聞いたんだっけな…中学の時もそう言って一人で抱え込みやがった。
心配かけないためとか、そんな事思わなくていいのにな。
「アホ、俺はそんなもん気にしないって何度言った?たまには俺を頼れ。」
「頼りまくってるよ。これ以上迷惑かけたくないの。」
「家族を頼るのはいけない事なのか?」
「でも…」
「俺は気にしない、上村って奴も桜を心配してた。そういう奴くらいは頼って良いと思うぞ。」