初めまして、私鈴木桜といいます。
私は今高校一年生です。無事に入学できました。
お母さんとお父さんの通っていた高校に入学できて、今凄く幸せなんです。でも…ちょっと苦しいです。
高校入学してからもう三ヶ月ですが、友達が出来ません。というよりも、人と関わってません。
「桜、お昼食べるぞ。」
「夜、行動早いね。」
「桜が遅いんだよ。」
「うん、わかってる。いつもごめんね夜。ありがとう。」
鞄の中にノートだけを入れて夜と屋上に行った。
屋上には誰もいない。私と夜だけだった。
適当なところに座って、お弁当を食べ始めた。
食べ終えても私はのんびりするだけ。夜は小説を読む。互いに違う事しているけど、いつもの事。いつもこんな感じなんだけどね。
しばらく時間が経てばチャイムが鳴る。チャイムが鳴れば教室に戻る。
教室は夜と違うから、途中で別々になる。
中に入りたくないな…
嫌々ながらも教室に入って、自分の席に着く。ノートだけを鞄から出して、教科書は机から出す。
またやられた…ボロボロになった教科書が机の中にあった。
全部の教科書がやられた。また買い直しか…
ボロボロの教科書をそのまま出して、授業放棄。窓から見える景色をずっと見ていた。

「今日の授業はここまで。」
教師はそう言って教室から出て行った。
教室から教師がいなくなった瞬間、クラスの女子達が席を囲む。
この囲んでいる子たち皆、夜の取り巻き見たいな感じの人。夜は人気だからね。
「また夜君とお昼だったのね。」
「夜が来るだけなんだけど。一緒に食べたいなら直接言えば?」
「貴方と食べるって言って、断られるのよ。」
「そうですか、もう関係ないですよね。どいてください。私帰るんで。」
席を取り囲む女子達の間を無理やり通って、私は家に帰った。夜が帰ってきたら怒られるだろうな。夜に帰るなんて言ってないもん。
嫌だなぁとか思いつつ、昇降口に向かった。
「なぁ、帰るのか?」
「そうですけど、どちら様で?」
「同じクラスの上村、帰るのか?」
「帰りますよ、教科書を買いに行くので。」
上村?そんな人いたっけ?まぁ、いたとしてもわかる筈ないか。クラスメイトが誰なんて覚えてないし。
「お前さ、いじめられてて何も思わないのか?」
「といいますと?」
「悔しいとか苦しいとか思ってないのか?」
「そうですね、憎いとか思ったことはありますよ。でもそれが?私は別に彼女達に何かしたわけではありません。夜とは双子だから一緒にいるだけ。別に一人でもいいんですけど、夜が過保護なだけですよ。やり返すとかそんな事なんてしません。」
「何でだ?」
「時間の無駄です。用はそれだけですか?」
「あぁ、そうだけど…」
「それじゃ、私帰りますので。さよなら。」
踵を返して、私は靴を履き替えて家に向かった。
上村さんは何が聞きたかったんでしょうね。別にいじめられてるの上村さんじゃないのに…
というか、本当に夜が帰ってきたら怖いなぁ…なんて事情説明しよう…
悶々としながら家に帰った。

=家=
「嬢さん?!まだ学校じゃぁ…」
「早退してきました。」
スタスタと歩いて、自分の部屋に入った。私服に着替えてとりあえず課題を終らせた。

一時間くらいして、課題は終了。
とりあえずまた教科書を買いに行こうと、靴を履いていたらお母さんに引き止められた。
「桜、また買いに行くの?」
「うん…」
「教科書を…これで高校に入って四回目ね。」
「あ…でも買いに行くのは教科書じゃない…」
「桜?私に隠し事なんて通じないってわかってるでしょ?白状なさい。」
「はい…」
お母さんに口答えするのは危険だ。夜と同じで、説教がもの凄く怖い。自分の部屋に戻って、素直に白状した。


「そういう事。桜もいじめを受けてるのね。というか…なんでもっと早く言わないのかなぁ?」
笑顔で頬を引っ張るお母さん。その笑顔怖いです!
「ごめんなふゃい!いふゃいれふ!」
「まったく、ちゃんと相談して頂戴。桜の悪い癖よ。一人で抱え込まない事。いいわね?」
「うん。ごめんなさい。」
引っ張られた頬をさすりながらまた謝った。
一人で抱え込まないか…無理難題だよ。こういう性格なんだから。
「夜は知ってるの?」
「うぅ…言ってません。」
「きっと気付いてると思うよ。ちゃんと話しなさい。」
「は~い。」
「それじゃ、お母さん来客の方がいるから。」
「うん、わかった。頑張ってね。」
「ありがとう桜。」
お母さんはそう言って、少し頭を撫でてから部屋から出て行った。
何かお母さんの背中にどす黒いものが見えたような気が…
でも気にしない方針でいこ。というか夜の説教が怖い。今日はどんだけ長いのかなぁ…
気が重いや…外にいる人に夜が帰ってきたら部屋に来てくれるように伝言を頼んだ。