「お嬢!若が帰ってきやした!」
「ありがと、かな達も来ると思うから車とかお願いね。」
「わかりやした!!」
結局何年も言ってきたのに、お嬢という呼び方は変えてくれなかった。もう諦めたけどね。
「ただいま瑠璃。」
「お帰りなさい。仕事は平気なの?」
「あぁ、部下達があとはやるって言い出したから帰って来れた。」
「優秀な部下さんたちだね。」
「まぁな、まだ誰も来てないのか?」
「うん、でもそろそろ皆来るよ。」
「楽しみだね。皆揃うのって何年ぶりかな。」
「二年くらいは過ぎてるし…楽しみだ。」
クスクスと笑いあっていたら、廊下を走ってる足音二人分。
「「お父さんお母さん!お客さんが来たよ!!」」
「廊下は走らないの。」
「賑やかだなぁ。」
けらけら笑ってないで怒ろうよそこは!!
二人に手を引っ張られて、客間に連れいていかれる。
中に入れば、皆楽しそうに笑いあっていた。
かな達が揃って笑うのを見るのも久しぶり。
「るーちゃん!久しぶり!」
「よう冷!瑠璃!」
「ひさしぶり~。」
「皆久しぶり。元気だった?」
「「「かわらな~い!!」」」
声を揃えていうことかいな!でもこの感じが懐かしい気がする。
「桜ちゃん、こっちで遊ぼうよ!」
「夜も一緒ならいいよ。」
「俺なら本読んでるからいいよ。遊んで来いって。」
「夜が行かないなら私も行かない。」
ぷいっとそっぽ向きながら夜の腕にくっついている桜。
夜はちょっと困ってるみたいで、私のほうに視線で助けを求めてる。
そんな夜がちょっと可愛いとか思ってる私。
「夜、たまには遊びなさい?」
「お母さんがそういうなら…」
「桜も夜から離れないと動けないわよ?」
「は~い…」
渋々離れる桜の姿を見て、何か冷は悶えていた。かな達はそれを見て大爆笑してるけど、私からしたらただの親ばかにしか見えない。
桜たちは中庭に出てキャーキャー遊んでいて、私達は久しぶりの再会ということで色々と話してた。

「そう言えば、真帆とかなは何かサプライズがあるって言ってなかった?」
「そういや、そんな事言ってたな。」
「真帆から言ってもいいわよ?」
「そうですか?ではお言葉に甘えて、私妊娠しました。」
「ほんと?!おめでとう!」
「ありがとうございます。かなさんは何ですか?」
「あら、私も同じで今妊娠五ヶ月よ。」
「かなもおめでとう!!」
「ありがとう、るーちゃん。」
かなも真帆もオメデタ。その報告には驚いたけど、何か嬉しいって気持ちのほうが大きい。
「お母さん、桜が転んだ。消毒液頂戴。」
「夜、相変わらず冷静ね;」
桜をおんぶしながら、夜は消毒液を要求する。なんというか、夜はしっかりしているけど桜はそれに甘えすぎって感じがする。
仲がいいのは別に構わないんだけどね。夜はしっかりしすぎだよ。
「おかあさぁ~ん…痛いよぉ…」
「あらあら、桜ちょっと座って?」
「何したんだ?夜説明してくれ。」
「うん、鬼ごっこしてて桜が自分で自分の足にもつれて転んだ。」
「「自業自得って事か…」」
「親が声揃えて言わないの!!」
なみに怒られちゃった。(@A@;)
「脳内で顔文字つかってなかった?」
「滅相もございません!!桜、傷口を見せて?」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
桜はそう叫んで、立ち上がりこの場から走り去っていった。その様子を見て私と冷は呆れた。かな達は唖然としている。そりゃそうだよね、ものすごいスピードで走っていったんだもん。
「ちょっと桜!消毒!」
「痛いのヤダ!!」
遠くから叫ぶ桜、声大きいなぁとかちょっと感心してしまう。する時じゃないんだけどね。
その様子を見ていた夜が、ちょっと眉間にしわを寄せた。あはは、やばいかなぁ…
「桜…いい加減にしろよ?」
小学生とは思えないくらいの低い声を出した夜。私と冷を除いたかな達は皆ビクッとした。まぁ、驚くだろうね。怖いもん今の夜の顔が。
「ちょいと瑠璃さん?夜君どうしたの?」
「何が?いつもの事だよ。」
「いつもなの?」
「うん、あぁなった夜には冷も勝てないよ。」
「お前いまだに瑠璃が怖いのか?」
「今何つった?」
「ごめんなさい。」
「桜、消毒は?」
といいつつ、口元は笑っているのに目が笑ってないよ?冷たい視線のまま桜に近寄る夜と、動きたいのに怖くて動けなくなっている桜。こりゃしばらく消毒できないね。
夜が桜を説教している間はのんびりしてよ。
「母さん、俺夜に逆らわないようにする。」
「あらあら、健斗がここまで怯えるなんて…」
「お母さん、何か桜ちゃんが正座してるよ?」
奈々ちゃんが怯えながらもなみにそう言った。健斗君なんてさっきからカイに抱きついたまま。
流石私の子供、血縁者だなってあの性格を見るたんびに思うよ。でもあの冷たい目は冷にそっくりだよ。それだけは、はっきりと言える。そんな傍らで桜は…
正座した状態で夜に説教されていた。
さっきから桜は、ごめんなさいとしか言ってないと思う。
夜の説教って、冷と同じでもの凄く淡々としているのに無表情なんだよね。それが怖い。
凄く冷たい視線で、それでいて無表情。
経験しなきゃわからないよ、あの恐怖…きっとお化け屋敷以上に怖いと私は思う。
まぁ、冷と夜には言えないけどね。絶対言わない。
「かなり時間かかりそうだな。待っておくか。」
「そうだね、でもその前に…夜、少しストップ。」
「どうして?」
「消毒と手当てが先。終ったら好きにしていいからね。」
「お母さん怖いよ!!」
桜はそう抗議するけど、夜の目を見て黙り込んだ。多分桜は夜を怒らせないようにしてたのに…とか思ってただろうに。いつも夜に怒られるもんね。そろそろ学習しようよ;
桜の傷の手当をしながらそう思ってた。
「よし、手当て終了。もう転ばないでね。」
「うん。」
「さて、桜?俺の説教はまだ終ってないぞ。」
「嫌だぁぁぁぁ!」
ずるずると桜は夜に引きずられて隣の部屋に連れて行かれた。ご愁傷様です桜。
その様子を見てかな達はまだ笑ってるし。
そんなに笑うの?
冷もなんか笑ってるし。
「夜君の性格って本当に冷にそっくりね。」
「そうか?俺には瑠璃に似てると思うけど…」
「私は桜の性格が冷に似てると思う。」
「どういう意味だよ!」
「そのままだけど?」
そのやり取りを見てまたかな達が笑う。
本当に久しぶりの感覚。高校時代に戻ったみたい。賑やかだなぁとか思ってた。健斗君たちはまた遊び始めた。怪我しないといいけど…
数年たっても、やっぱり皆変わってない。何一つあの頃と同じで、変わることは無かった。
「そういえばさ、同窓会は行く?」
「あぁ~、どうしよっか…桜達いるしさぁ…」
「誰だっけ幹事。」
「桜木じゃね?今連絡とって見るわ。」
いまするんかい!!
カイは携帯を取り出して、桜木君に電話した。しばらくしてカイが私のほうを向いていった。
「会場が取れないんだってよ、無しになるかもって…」
「そうなんだ。ならうちでやる?この居間を使えば余裕でしょ?一クラス分なら。」
「だな、今言ってみるわ。桜木?あのさぁ…」
事情を話して、カイが説明終ったらしく携帯を閉じた。
その後桜木君と話した事を聞いた。桜木君がもう一度はがきを出して、場所が変わったことを教えるらしい。場所は私の家に決まった。
私は日時を聞いて、組の人達に事情を話した。皆ノリノリで「お嬢の頼みとあらば!!」とか言って一致団結していた。何だかんだといってお祭り騒ぎの好きな皆。
料理とかも「腕を振るってご馳走つくりやす!!」って張り切っていた。
同窓会は来週の週末。それまでかな達は泊まってるって言い出してびっくり。
仕事良いのかなぁ?

=同窓会当日=
「「お嬢!お客です!」」
「「こんばんわ~。」」
「いらっしゃい。」
「久しぶり!」
皆キャーキャー騒いで再会を懐かしんでいた。楽しんでくれてるみたいで良かったよ。
幹事の桜木君が乾杯の合図を出して、乾杯した。
皆高校の時のはなしで盛り上がっていた。私はかな達と話してた。
「そう言えば、カイのせいで瑠璃は自殺まで追い込まれたんだよね~。」
「だから本当に反省してるって!」
「未だに根に持ってるよ?」
「ごめんなさい!」
色々と懐かしんでる時に、私と冷は皆に囲まれた。あれこれと色々質問されたりと大変だった。
かな達もなんか囲まれてるし…なんで?!
「お~い、最後に写真撮るぞ!」
幹事の桜木君がカメラを持って、そう叫んだ。皆密集して、写真を撮って解散。
結構あっさりしていたけど、楽しかった。
片づけが大変だけどね;
片付けはかな達も手伝ってくれた。

「そう言えば、来年には桜ちゃんと夜君は小学校ね。」
「そだよ。早いね。」
桜と夜は小学校、その次の年には健斗君と奈々ちゃんと亮太君が小学校に入る。
何かもうそんなに経ったんだって思った。時間って早いよね。
そんな感じで同窓会も終って、皆それぞれ家に帰っていった。
今日の夜は久々に桜と夜と冷の四人で眠った。