瑠璃と別れてから、数ヶ月くらいたった・・・
別に俺には関係ないけれど、何かが引っかかる。
あれ以来何故か、瑠璃に傷が増えていた。最初は気にしていなかった・・・けれど最近は気になる。
日に日に傷が増えていって、時にはシップや包帯をしているときもあった。
自分で怪我したと考えても、やっぱりおかしい。
何であんなに毎日怪我しているんだ?
「冷、ちょっといいか?」
「ん?あぁ、大悟か・・・なんだ?」
「こっちに来いよ・・・」
そう言ってる大悟についていった・・・



何だよこんなとこに・・・
連れて来られたのは体育館裏・・・
「ここから静かに見てろよ。何を見ても出ていくな。」
いつになく真剣な大悟の表情・・・
最初は理解できなかった、でもすぐに理解できた・・・


「なに?今度は何する気なの?」
「あんたさぁ、いつまでここにいるわけ?さっさと出て行きなさいよ。」
「嫌、学校ならちゃんと卒業するつもりだしね。何で指図されなくちゃいけないの?」
「ほんと生意気!!何であんたみたいな奴と付き合ってたのか意味わかんないわ!!」
「冷が何?もう彼とは何の関係もないんだから巻き込む必要ないよね?いつまであんたたちはこんなちんけないじめを繰り返すの?」
「うるさい!!皆やっちゃえ!!」
その声を合図として、7~8人の女子が殴りかかった・・・
瑠璃は抵抗しない・・・
瑠璃がこんな事になっているなんて知らなかった。
「あんたなんか死ねばいいよ!!どうせ誰一人として悲しまないんだからね!!」
「そんな事ない・・・お母さんが・・悲しむから・・・まだ死なない・・・」
「はっ、あんたの家族なんて見たことないわ。捨てられっ子なんじゃないの?」
そういった瞬間に瑠璃は、大声を出した。
「お母さんを馬鹿にしないで!!お母さんは毎日毎日仕事で忙しいの!!お父さんはね!ガンで亡くなったの!私が受験生の時に亡くなったんだから!お母さんを支えるのはもう私しかいないの!!だから何されても死なない!お父さんの分まで生きるって決めたんだから、何も知らないくせにゴタゴタ言わないでよ!!」
「っ・・・ばっかみたい、どうせ人なんか死ぬんだからいいじゃない。早く死ねて良かったんじゃない?」
さすがに言いすぎじゃねえかよ!!
出て行こうとしたら大悟に止められた。
「何も知らない他人が口出さないで!!さっさと消えてよ!!」
「言われなくても行くわよ。いこ?」
そう言って瑠璃を残して女子たちは消えていった。
瑠璃はうずくまって、泣いていた・・・
「お父さん・・・お父さ・・・」
確かに瑠璃の父さんは、ガンで亡くなった。俺も瑠璃の父親には数回しか会っていない。
瑠璃はお父さんっ子だったから。葬式の時は一番泣いていて、一ヶ月近く元気がなかった。
今すぐに瑠璃の元へ行きたいけど・・・
それは許されない・・・
考えていたら、大悟が瑠璃の元へと行った。


「大丈夫か?瑠璃・・・」
「ん、何とかね・・・お父さんに会いたいなぁ・・・」
「抵抗すればいいじゃんか、何でしないんだよ。」
「暴力で返しても意味ないからね。それにさ、暴力で返したらきっと酷くなるしそれ以上にあんな奴らと同レベルになりたくないもん。」
「いい笑顔で笑うな、黒いぞ;;」
「そう?まぁいいじゃん♪強くなった証拠かな?じゃ、帰るね、お母さんの誕生日だからさ今日はケーキ作んなきゃ。」
「お、おめっとさん♪またな~。」
その場から瑠璃はいなくなった。
「で?冷はこれを見てどう思ったんだ?」
「・・・いつから大悟は知ってたんだ?」
「ん?冷と別れたときから♪元から知ってたしな~、瑠璃がいじめを受けてんのは。」
「何で言わなかったんだよ・・・」
「口止めだよ。冷には言うなって・・・」
「てかなんで名前呼びし合ってんだよ。」
「瑠璃が昨日名前で呼んでいいって言ってたからな。」
「…なんで口止め?何で・・・」
「それだけ大切なんだろ。お前がな、じゃあ俺帰るから。」
それだけ言って帰っていった大悟・・・
いったいどうしろっつーんだよ。
モヤモヤしてる俺の頭・・・
なんにもわかんねーし。
いったいどうすれば良いのかわからない・・・
わかった事と言えば、何も知らなかった俺は瑠璃を苦しめた。

それが事実だったんだ。何も知らなかった俺に相談もせずに瑠璃は笑顔を見せていたんだ…
今更どうすることも出来ない俺は、ただその場に立っていた…