「おはよ~。」
「おう瑠璃、おはよ~。冷はどうした?」
「あぁ;友美さんに今捕まってる。先に行ってろって言われてね;;」
「友美って?」
「冷の姉だよ。結構面白い人なんだけどね。」
友美さんって結構有能な人なんだけどね、行動がとにかく謎。
そんな友美さんだけど、私は結構好き。
「あらるーちゃん、指輪なんてしていたかしら?」
「あぁ、昨日冷から貰ったの。」
冷から貰った指輪を指差すかなと、落ち込んでいるカイ。
「ちくしょー…なんだよ皆してリア充してんじゃねぇよ…俺だけ寂しいじゃねぇか…」
あぁ、そういうことね。自分一人だけ独り身ってことか…何だか哀れな視線を皆で向けていた。
「あー疲れた…ん?何カイは落ち込んでるんだ?」
「うるせぇリア充め!!」
「はぁ?!」
冷はようやく開放されたみたい。何かやつれてるけど大丈夫なのかな?
「何だよ皆してよ…かなもかなで、知らない間に大悟と付き合い始めてたしよぉ…」
「聞かれてなかったもの、聞かれなきゃ言わないわよ。」
はい?!今何て言った?!かなと大悟君が付き合ってる?!初耳ですけど?!
「大悟君本当なの?!」
「あぁ、そうだけど…」
「知らなかった…」
「言ってないし…?」
まぁ、本人達の問題だから私達が何かを言う権利は無いけどね。
「遅くなったけどおめでとう。」
「ありがとうるーちゃん。」
ニコッと笑ったかなは、何でか知らないけど抱きしめてきた。もう慣れたけどね。
健となみは大悟君に質問しまくってて、冷はカイを何でか慰めていた。
「俺の味方は冷だけだよぉ~…(;A;)」
「絵文字使うなって、味方かぁ…ワリ、俺昨日瑠璃にプロポーズしたから♪」
「くたばれぇぇぇぇ!!!(・□・#)」
「絵文字と言葉が一致してねぇよ!!」
「そういう問題じゃないでしょうが!」
カイがつい暴走し始めたけど、危害が及んでいるのは冷だけだった。なので私達は教室の端で喋っているだけ。
「るーちゃん、やっぱりその指輪って婚約指輪?」
「そう…なのかな?」
「いいなぁ、私も欲しいなぁ~。」
健に聞こえるような声で、ワザとらしく言うなみ。健は目をそらして大悟君と何か話していた。その行動に少し私は笑えた。
「カイ、暴走止まるのかな?」
「大丈夫よ、いつもの事なんだし。」
「「いつも暴走してないよ?!」」
こんな賑やかなやり取りが出来るのも、本当に残りわずかなんだよね。
皆それぞれの道を進んでいくって、結構寂しいもんだってわかった。
高校生活を昨年私は無駄にした時間の方が大きかったかもな~…取り戻せないけど…
「瑠璃?どうかしたの?」
「ん~?あと少しで卒業なんだなって…」
「そだね…あと一ヶ月で卒業だね…」
「残り少なくなってきたのね…悔いの残らないようにしましょう?」
「「それは当たり前!」」
「「「あははは!」」」
かなとなみの三人で声を揃えて笑った。健と大悟君はそれを見て微笑んでいて、いつの間にか冷とカイも笑っていた。
「にしても、色々と衝撃的なことありすぎだろ;」
「だな、かなと大悟の事だろ?瑠璃と冷の婚約の二つか…」
あ、忘れてた。そう言えば空から連絡が来てたんだっけ。
昨日《明日メールするけど、冷たちの前で読んでくれ》って言われたんだった。
ポケットから携帯を取り出して、私は空からのメールを開いた。
「ちょっといい?空のこと覚えてる?」
「あぁ、瑠璃が算数から教えた奴だろ?」
「その人がどうかしたの?」
「えっと、皆に報告だってメールが来たから読むね?」
「お~、って俺関係なくね?いいのか?」
「いんじゃない?えっと…瑠璃を含めて皆さんお久しぶりで~す。覚えてると嬉しいんだけど、簡潔に報告だけ。実は俺に子供が出来ました…?」
「「「「「「「子供ぉぉぉぉ!?」」」」」」
「えっと、叫ぶとは思うけど俺瑠璃ん家から帰ったときに色々あったんだ。たまたま公園を通りかかった時に、綺麗な女の人がバイク故障してて困ってたんだよ。それで俺が直して…何となく流れで付き合うことになりました。因みにその人は年上なんだよね、俺の二つ上の今二十歳。年上キラーの俺としてはドストライクなんだ。彼女に許可貰ったから、写メ送っとく。返信はいらねーから、またな。だって…」
まさか空に子供とか…ちゃんとした父親になれるのかなぁ?心配するところが何となくずれている私。写メがメールの下辺りにあるから、スクロールしていく。
写メには、空ともう一人彼女さんが…
その彼女さんを見て、私はさらに驚いた。
だって私の知ってる人だったんだから…
「冷…友美さんに子供が出来たとか聞いてない?」
「姉貴?…あぁ、確か今朝そんな事で呼び出されて…まさか…」
「そのまさか、空の彼女さんが友美さんみたい。ほら。」
冷に携帯を手渡して、その写メを冷に見せた。冷はそれを見て表情が固まる。
「…マジで?」
「冷、後で空にメールしておく?」
「いや、今日あいつ来るからいいよ。」
そういいつつ、冷は携帯を渡してきた。
本日は、色々と衝撃的事実がありました。
1.冷と私の婚約発表 (かな達に。)
2.かなと大悟君の関係 (カイの暴走有り)
3.空と友美さんに子供 (空からの報告)

一気に三つも、ありえない事実が入り込んできたから正直夢だと思いたかったな。
でも、これもある意味思い出に残るかもしれない。
そうだ、もう一つあったんだよ?
あんだけ悲しんでいたカイに、彼女さんが出来たの。隣のクラスの真帆って名前の子。
実際、カイとかなと私と同じ小学校の子だったんだって。小学校が同じって聞いたとき、私は違和感あったけどね。でもそれはすぐにわかったの。真帆さんは、小学校の時に少しの間だけ私と一緒に行動していたんだ。体が弱くて図書室にいたの。それで、私は図書室にこもってて読んでる本のジャンルが同じって事で喋り始めた子。
すっかり記憶の隅に行ってたんだけどね。真帆さんが言ってくれて思い出したの。
カイはその事をちょっと知ってたみたいで、真帆さんが気になってたみたい。何はともあれ、皆幸せいっぱいになった。