何かと騒がしい高校二年の時期も過ぎて、私達は無事全員三年へと進級できた。
奇跡的に、冷・かな・なみ・健・カイ・そして大悟君が同じクラスとなった。
今になって思ったことが一つ…大悟君に言われてから気がついたんだけどね。何でか君付けで呼ぶようになってたみたいで…どっちでもいいって言われたから好きなように呼ぶことにした。ごめんね大悟君;;

そんな賑やかメンバーで生活してからというもの、時間が早く過ぎていく。
気付けば高校生活の後半に差し掛かり、2月となっていた。
無事それぞれの進路も決まり、後残すは卒業のみ。
かなとカイは、親の会社へと就職が決定。なみと健は同じ大学でも学部は違う。大悟君は、いつの間にか芸能プロダクションへと入る事になっていたみたいです。期待の新人といわれてるみたい。
冷は、父親の会社へと入社して跡継ぎとして頑張るみたい。私は叔父様の家業を手伝う為に色々と頑張ってます。
皆それぞれ違う道を進んでいくけど、仲良く行こうって言うのは変わらなかった。

「あと少しで卒業か…早いな…」
「そうね、昨年はごたごただったものね。」
「面目ない。私のせいで迷惑おかけしました。」
「いいのよ、原因はカイなんだから。」
「俺何度も謝ったじゃねぇか!」
なみがそういったら、カイは涙目になりながらもそう訴えた。
こうしてバカみたいに騒いでいられるのも、もうあと少ししかないんだよね…
「るーちゃん、お誕生日おめでとう!はいこれ!」
「かなと俺二人からのプレゼントな。」
「かなとカイから?ありがとう♪」
かなとカイから渡されたのは、黄色の袋にラッピングされたプレゼント。
「俺となみからはこれな。」
「奮発したんだよ~?大事に使ってね☆」
「二人もありがとう。大切にするね。」
なみと健に渡されたのは、緑色の綺麗な小さい箱のプレゼント。
「俺からはこれな。母親とでも使ってくれ。」
「大悟君もありがとう。お母さんも分まで…」
大悟君からは、赤い袋に入ったプレゼント。
「皆ありがとう。全部大切にするよ。」
「いいってことさ。」
「るーちゃん、私とカイからのやつは中身が無いのよ。でも、きちんと卒業式には完成するつもりだから安心して頂戴?」
「?何なのかわからないけどわかった。」
「冷は無いの?」
なみは冷から貰ってない事に気がついて、冷に向かって言った。
「俺は帰りに渡すからいいんだよ。誰がお前らの前で渡すか。」
「るーちゃん、襲われたら叫ぶのよ。私がすぐに行くから。」
「いや、冷がそんな事しないってわかってるから。」
一体いきなり何を言い出すんだか、かなはいきなり変な事言い出すから少しめんどくさいと思うときもある。それでも好きなんだけどね。面白いから。
「てか、瑠璃は俺のなんだしさ襲ってもいいじゃねぇか。」
「冷も何冷静に返答してるのさ!!」
「ダメったらダメ!よりを戻した時に屋上でるーちゃんを襲ってたくせに!!」
「ちょ!それは…」
…今何言った?かなは今何を言い出した?
屋上でって…つまり…
「何でお前らが知ってる?」
「えぇと…急用を思い出して…「かな?ちょっとそこに座りなさい?」るーちゃん?」
「いいから座りなさい。」
「はい。」
かなが渋々座ったのをみて、私はかなに聞いた。
「今の言葉、何に対して言ったのかをはっきりと詳しく聞かせてもらおうじゃない。さ、全て話しなさい。」
「えっとですね…―――」


「…というわけです。ごめんなさい。」
「…冷、しばらくお預け。」
「何で俺?!俺のせいじゃないだろ?!」
「元はといえば冷のせいじゃない!問答無用!!」
「そんなぁ…」
かな達に見られてたとか最悪、それ以上に恥ずかしすぎじゃん。もう冷の馬鹿!!

「るーちゃん可愛かったわよ♪」
「かな、もう一時間正座ね。」
「そんなぁ!」
かなは文句言いつつも、正座のままだった。
カイ達は笑っているけど、笑えるのも今だけなのに。
「健たちも笑ってるけど、かなと同罪だよ?さ、そこに正座一時間してなさい?」
「「「ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!」」」
三人とも泣き叫んだけど、許しはしない。
「因みに冷もだからね?」
「何で俺まで?!」
「問答無用、元はと言えば冷の責任でしょ?口答えしないでさっさと正座。」
「はい…」
「皆頑張れ~w」
「大悟君、次の授業は何だっけ?」
「あ?数学だけど、教師が出張だから自習だけど…」
あら丁度いい、何なら授業終るまで正座でもさせておきましょうか。そっちの方が面白いでしょうしね。
「何ならそのまま正座して…」
「「「「「勘弁してください!!」」」」」
「つまらないなぁ...」
「アイスおごるからぁ!!」
「仕方ないなぁ。」
「納得かよ...」
「カイはそのまま正座ね。他はもういいよ。」
「すみませんでしたぁぁ!!」
カイのみ正座させておいて、なみ達は解放した。
結局、カイはそのまま授業終るまで一人正座していた。

ー放課後ー
「それじゃ、また明日ね~!」
「「「「「ばいば~い♪」」」」」
皆それぞれ家に向かっていく。
私は冷が家までいつも通り送ってくれるから、一人じゃない。
のんびりと歩きながら冷は手を引いて歩いてくれる。私はその手を繋いだまま、冷と並んで歩いていた。
「瑠璃、これ…」
繋いでない方の手で、ポケットから取り出した冷からのプレゼント。
かな達から貰った物よりも小さい箱だった。
紫色の箱に、水色のリボンでラッピングされていた。
「ありがとう冷、開けてもいい?」
「あぁ、いいぞ。」
冷と繋いでいた手を、離して箱を開いた。
中に入っていたのは、小さな指輪とネックレスの二つ。どちらも私の誕生石のアメジストがついていた。
「冷、これってかなり高いんじゃ…」
「気にすんな。それに、ネックレスとその指輪はセットで買ったからな。それに金額は気にすんな。」
いや気にするから!!でも返すのもなんか悪いし…
「瑠璃、指輪の方いいか?」
「?うん。はい。」
冷に指輪を渡したら、冷が私の右手を取って薬指にはめた。
「えっと…冷?」
「瑠璃、卒業したら俺と結婚してくれ。」
「…本気?」
「嘘なんか言わないって言っただろ?瑠璃は嫌なのか?」
「嫌じゃないけど、私叔父様の家を継がないと…」
「それは知ってる。俺も親父の会社継ぐからな。それを知った上で言ってんだよ。」
「…迷惑かけるんだよ?それでも…」
「俺は瑠璃が良いんだって。それでも信じられないか?」
「信じる…ありがとう冷…」
堪えきれなくなって、私は涙を流した。
その涙を冷は、人差し指で拭ってくれた。その手を右頬に添えて、冷は言った。
「もう一度聞くけど…俺と結婚してください。」
「…はい。よろしくお願いします。」
涙が止まらなかったけど、冷の質問に私は答えた。
は笑顔を見せてくれて、ゆっくりと抱きしめてくれた。私を抱きしめた状態で、冷はもう一つのプレゼントのネックレスをつけてくれた。まさか高校最後の誕生日で、冷からプロポーズされるなんて思ってなかった。
「冷、ありがとう…」
「おう、絶対幸せにすっから。」
「わかってるよ。」
二人で笑って、少し長めのキスをした。
「帰ろうか。」
「うん。」
冷とまた手を繋いで、家に向かった。

「それじゃ、また明日な。」
「うん。ありがとう冷。おやすみ。」
「おやすみ瑠璃。」
冷の姿が見えなくなるまで、外にいた。
見えなくなってから中に入ったら、お母さんが玄関まで迎えに来てくれた。
「お帰りなさい瑠璃。」
「ただいまお母さん。遅くなってごめんなさい。」
「冷君といたんでしょう?なら安心してるわ。あら、指輪してるの?」
「あっ…///」
「ふふっ、右手の薬指は夢を実現させたいって意味だったはずよ。良かったわね。」
「うん!」
「あ、ご飯にしましょうか。」
「は~い。」
お母さんとご飯を食べて、手作りのケーキを食べた。毎年お母さんは誕生日になるとケーキを作ってくれる。それが凄く好きなんだよね。

お母さんとの食事も終って、風呂に入ってすることといえばもう寝るだけ。
自分の部屋に入って、かな達からのプレゼントを開けた。
かなとカイは写真立てだった。完成しないってこれの事か…卒業式の写真を入れれば完成するってことだったんだ。
なみと健からのプレゼントは、マフラーと手袋だった。二つとも水色で凄く暖かそう。
二人とも私が水色を好きって事覚えててくれたんだ。
大悟君からのプレゼントは、紫と赤の二色のお箸だった。お母さんと使えって事を理解できた。てゆうか、プレゼントにお箸のチョイスって面白いよ大悟君。
それぞれのプレゼントを見て、心が温かくなった気がした。
右手にはまってる指輪を眺めて、私はゆっくりと眠りについた。

そんな感じで、私の高校最後の誕生日は幕を閉じた。