昼休み、私と冷は屋上にいた。
何でかわからないけど、冷が二人で食べたいって言い出したから。
だから今日は二人だけで、かな達はいない。因みに今はと言いますと…
冷に後ろから抱きしめられているという状況で、一切身動き取れません。一体何がしたんだか…
「冷~、動けないんだけど…」
「別にいいじゃん、食い終わってんだし。」
「それはそうだけど…いきなりどうしたの?」
「ん~…瑠璃がここに居るって確認してんの。」
「いるんだから確認しなくてもいいじゃん。」
「そうだけど、昨日まで隣にいなかったから…」
そう言うと冷はさっき以上の力で、強く抱きしめてきた。
冷が何かおかしくなってるような気がする。
一体本当にどうしたんだろう。
「冷、本当にどうしたのさ…」
「確認中…」
「いや、だからここに居るって…「確認したいんだよ…」冷?何泣きそうになってるのさ・・・」
確認中といったときに振り向いたら、冷が涙目になってて少し驚いた。
冷が泣きそうになるのは初めて見たかも知れない。
「瑠璃と別れてからずっと不安だらけだったし、夜も眠れなかった。イラついているはずなのに、ほとんど瑠璃のことばかり考えていた。」
「冷…?」
冷は片手で、私の髪の毛先に触れて…
冷は何でか悲しそうな顔をした…
「綺麗だった長い髪を切ったのも、俺のせいだろ?」
「あぁ~…どうでもよくなったからね。」
「俺さ、瑠璃と全く話さなくなってからわかったんだよ。俺のほとんどの生活に瑠璃がいて、瑠璃が中心で進んでるんじゃないかって位ね。そんだけ瑠璃が好きだったって気付いた頃には、瑠璃はもう人格自体変わってた。それを見たときは苦しかった…本当にごめん瑠璃…ごめっ…」
「冷…」
ギュッと冷を抱きしめて、背中をゆっくりとさすった。
独り言みたいと思ってたけど、そこまで冷が思い詰めていたとは思わなかった。とにかく何も感じていないと思ってた。だから少し戸惑う、どうすればいいのかわかんない。

カイSide
冷と瑠璃は二人で食べるって言ってたから、俺らは四人で食べていた。
「にしても、本当に瑠璃と冷が元に戻ってよかったな。」
「そうね、あんな面倒な事になるなんて誰も思っても無かっただろうし…」
「るーちゃんが笑顔ならどうでもいいわよ。」
「かなはあい変わらず瑠璃中心だよな;」
「それは私に対して喧嘩売ってるのかしら?」
「ごめんなさい。」
「てか、何で二人が良いって言ってたんだろな。」
「さぁ?」
というような感じで気になったので、俺等は素早く昼飯を食って屋上の扉前に向かった。

盗み聞きなんて気が引けるけど、それ以上に好奇心の方が強かった。

「聞こえる?」
「少しなら聞こえるけど…」
「少しドア開けようぜ、静かにな?」
ゆっくりと音を立てないように扉を少し開いた。さっきよりも聞き取りやすくなったけど、少し不安だ。どうかばれませんように…
「本当にごめんな、瑠璃…」
「もう良いって、何度言わせるのさ。いい加減に泣き止んでよ…」

「嘘、冷が泣いてる…信じられない。」
「マジで?」
結構レアじゃん、表情が見たいけど見れねぇな…ッチ、使えねぇ…

「でも俺のせいで瑠璃が…」
「だから、髪を切ったのも自分の意思だって何度も言ってるでしょうが。それにいじめられてたとしても、もう気にしてないっての。」
「怪我の量が半端じゃなかっただろ…」
「まぁ、階段から突き落とされたりすればね。でも喧嘩してた頃に比べれば平気だよ。」

「どんな会話してんだよこいつら…」
とゆうか、階段から突き落とされるとかおかしいだろ。下手すりゃ骨折してんじゃないのか?よく無事でいたもんだ。

「でも…」
「それ以上言うんだったら別れる。」
「それだけは嫌だ…」
「ならもう言わないで。しつこいよ。」
「…わかった。もう言わねぇ…」
「ならいいよ。」

あ、少し移動したら瑠璃と冷の姿が見えた。
「こっちからだと二人が見えるぞ。」
「本当?みせてみせて。」
四人で縦になるように隙間から覗いていた。

「瑠璃、ちょっといいか?」
「何?また何か言う気?」
「それはしない。するのは別の事。」
「まぁいいけど。冷と向かい合って座ればいいの?」
「そうそう、ここの間にな。」

冷が手で叩いた所に素直に座った瑠璃。俺は何するかわからなかったけど、すぐに理解した。
冷が瑠璃を引き寄せて、キスしたから。
「おぉ、他人のを見るのは初めてだな。」
「お~、結構いい感じじゃん。」
「瑠璃と冷って、本当にお似合いだよな。」
「るーちゃん幸せそう…良かった。」
俺はかなが冷をシバく言わなくて本当に良かった。

「冷?いきなりどうし…「黙ってろ。」…っん…」

瑠璃の言葉を遮って、冷はまたした。
そうして何度も何度もしてるのを見て、俺は流石に恥ずかしくなってきたから目を逸らした。
健も同様で、俺と一緒になって顔を赤くしていた。
「健、大丈夫か?」
「無理///恥ずかしさでこっちが死にそう…」
「だよな…///」
かなとなみはずっと見ていて、たまに言う言葉に俺と健は余計に恥ずかしくなった。
だってかながたまに『あ、舌入れてる。』とか言うんだぞ?!恥ずかしいじゃねぇか!!
健はもう、真っ赤になってうつ伏せに倒れていた。

「ちょっ…ストップ冷!息できな…「大丈夫大丈夫。」大丈夫じゃないって…っん…」

あ~、覗きとかするもんじゃないな。恥ずかしさでこっちが死ねるよ。
しかも何かだんだんと瑠璃の声が色っぽいというか、エロくなってるような気がするんですけどぉ!気のせいですかぁ?!

「瑠璃が真っ赤になってるの、初めて見るかもしれない…」
「あ…冷がるーちゃんのスカートに手を入れてる…」
「片手で瑠璃のブラウスのボタンも、外し始めてるわ…」
「しかもるーちゃん気づいてない、というか真っ赤で可愛い。」
「「実況すんなよ…///」」
てか、もしかして冷抑え切れてないだろ…ここ学校だけど大丈夫なのか?

「冷…何する気…?」
「ん?瑠璃を食べる気だけど?」
「ここ学校だよ!しかも何さり気なくボタン外してるのさ!」
「気のせい気のせい。」
「気のせいじゃない!いつの間に全部外してたのさ!」
「さぁね…っと、声抑えろよ?」
「待ってってば!」
「無理、可愛すぎる瑠璃が悪いんだからな?」
「可愛くない!」
「そういう風に、口答え出来んのも今だけだからな?」

あ~、完璧冷暴走してんな…
俺は健を起こして、耳元で囁いた。
「かなとなみを連れて、階段の下に行こうぜ。」
「おう…俺もそうした方が良いと思う…」

「んじゃ、いただきますっと♪」
「冷のあほぉ…っんぁ…」

「「おぉ…」」
「はい、終了。二人とも下行くぞ。」
「なんでよ、今いいとこなのに…」
「これ以上はダメだろうが、行くぞなみ。」
「えぇ~…」
「何なら、放課後俺がお前に…」
「行くわよ健。」
さくさくと下に下りていったなみ。
健は何だかガッカリしていた様な気もする。
「ほら、かなも行くぞ。」
「そうね…るーちゃん午後の授業出られないかもしれないし…真面目に授業でとかなきゃね。」
「さっさと行くか。」
「えぇ。行きましょ。」

という様な感じで、俺ら四人は屋上の前から立ち去った。

因みに、午後の授業に冷と瑠璃は出なかったのは言うまでもない…