「おはよ、瑠璃。」
「冷…寒くない?」
「別に?行こうぜ。」
冷は私の手を引いて、歩いていく。
私は少し照れたけど、それ以上に嬉しかったからもう良いやって思ってた。
かな達とすれ違う事はあったけど、カイが一言言った。
《お邪魔そうだし、先行ってろよ。》といってた。健は何か《良かったな》って言ってた。
なみ達は手を合わせて喜んでいた。
そんな感じで先に冷と学校に来た。校門を過ぎると、冷のファンクラブの子達が一斉に近寄ってきた。一瞬私と冷の手をいて、固まっていたけどお構い無しに引き裂こうとしてきた。けど冷は、手をグッと引っ張って正面から抱きしめた。てゆうか抱きしめられた。
「あのさ、いい加減にしてくれない?」
「別れたんじゃなかったの?!」
「黙れよお前ら…」
…あれ?冷の声低くない?
「鈴木君?」
「お前らさ、一体何様のつもりなんだよ。俺が誰と付き合うとか関係ないよな。大体毎日ウザいんだよ、何?俺が瑠璃と付き合うのがそんなにダメなのか?お前らに何もかも振り回される気なんてサラサラ無いんだよ。なに?俺はお前らの思い通りに動かなきゃいけないのか?ふざけんのも大概にしろ。」
…冷が凄い怖い…のは気のせいなのかな?
目が半分しか開いてないし低音だよ声…;;
「鈴木君…そんなに杉原さんのどこがいいの?!」
「お前等なんかにそんなの教える義理は無いだろ?それ以上にどうでもいい事だよな。これ以上俺等に関わるな。正直言ってお前等常識無いだろ。人の事を今まで何度も邪魔してくれたよな。ふざけんじゃねぇぞ!」
冷の大声が凄く怖かった。ここまで大きな声を外で出しているのを見たことは無かったから、凄く怖かった。
「瑠璃、ちょっとごめんな?」
「は?」
冷がいきなり話を振ってきて、全く理解できなかった。ごめんなと言われて、冷の方に顔を向けたら片手で顔を押さえられてキスされた。
周りの女子達は悲鳴を上げて、男子達は口笛を吹いていたりおぉー!っと言っていた。
しばらくして離してくれたけど、恥ずかし過ぎて冷の頭をつい叩いてしまった。
「何すんだよ瑠璃、痛いじゃねぇか。」
「そそそ外で何すんのさ!!///」
「慌て過ぎ。だからごめんって言ったじゃねぇか。」
そういう問題じゃないよね?!
ごめんの問題じゃないよ?!
「とにかく、俺はもう瑠璃以外視界になんかに入らないから。これ以上近寄るな。それでも来るってんなら、女でも俺…容赦なく殴るから覚悟しとけ。」
肩をグッと抱かれて、冷は冷たく言い払った。
周りにいた子達は、冷がここまで冷たく言う事は無かったから怯えて通り道を作ってくれた。
「それと、瑠璃に何かしても俺はここにいる全員殴るからな。」
そう言った時の冷の表情がもの凄く怖くて、目を逸らしてしまった。
ひっそりと私は、冷を怒らすのは止めようと決意した。もちろん冷には秘密だけど…
「瑠璃?どうかしたか?」
「ううん、なんでもないよ。早く教室にいこ?」
「あぁ、そうだな。」
良かった、いつもの冷だ。あのまま怖い状態だったらどうしようかと思った。
戻ってくれて本当に良かった。

=教室=
教室に入るなり、クラスメイト達にもの凄い冷やかされた。まぁ、校門のところでキスすれば冷やかしたくもなるのはわかるけど…自分が冷やかしの対象になるのは気に食わない。なのでその原因を作った冷の脇腹を殴った。
「痛ぇ!何すんだ!」
「自分のさっきの行動を思い返しなよ。」
ニッコリと笑って自分の席に着いた。
取り合えず授業の準備をして、本の続きを読み始めた。
「だからする前にごめんって言っただろ?」
「許可も何も出してないけど?後うるさい。黙ってて。」
「うっ…;;」
近くのイスに座って、私の席の机につっぷくする冷を視界の端に捕らえつつも私は本を読む。
これで少しは反省してくれると嬉しいんだけどね。まぁ、無理なんだろうけど。
「瑠璃ー…」
「なに?」
「怒ってる?」
「さぁね。」
「うぅ…」
…面白いなぁ~、やっぱり。
「…それでも好きだから。」
「知ってますよ。黙ってて。」
「はい…」
冷静を保ってるように見えてても、実際恥ずかしい。いきなり好きと教室で言われるとは思ってなかったからね。クラスメイト達はうるさいけどね。
冷は本を読んでる私をじっと見てるだけ。
気にしないようにそのまま本を読む私。
騒がしいのに、全く気にならないけどね。
本を読みながら思い出すさっきの冷の性格。
本当に腹黒かったような気がする。不覚にもカッコいいとか思ってたけどね。内緒にしていよ。言ったら絶対に調子に乗るだろうし。
チラッと冷をみたら、何か知らないけど笑顔を見せてくれた。
思わず微笑み返したけど、冷は赤くなって机にまたつっぷくした。何がしたいんだかね。