「……は?」
意味がわからないって顔をする瑠璃。
そりゃそうだろうね、外でそんなことを言い出すなんて…誰も思わないだろう。
横を通りすぎていく同じ学校の生徒達は、俺と瑠璃をチラ見してさっさと歩いていった。
まぁ、校門を出てしばらく一本道だから在校生とかいるだろうけど多すぎだろ。
とか思ったけど、今は気にしない。それ以上に俺の今の気持ちを正直に伝える方が、俺にとっては大事だから。
「場所を考えてくれない?周りの視線が気になるんだけど。 」
「俺は気にしない。」
「あんたが気にしなくても私が気になるの!」
「んじゃ、場所変えるか。」
瑠璃の手首を掴んで、俺は公園へと向かった。
公園のベンチに瑠璃を座らせて、俺は瑠璃の前に立って言った。
「瑠璃さ、本音を聞かせてよ。嘘は言わないで本音だけを聞かせてくれ。」
俺は瑠璃をジッと見つめていった。
瑠璃は顔を逸らそうとしたから、俺は片手で瑠璃の頬を押さえて言う。
「顔を逸らさないでハッキリと言ってくれよ。俺が嫌いなら嫌いって言えばいいだけのことだろ?」
俺はこの言葉に賭けた、だってそうでもしないとまた瑠璃に誤魔化されるかもしれないからな。嫌いならハッキリと面と向かって言われれば吹っ切れるから。
瑠璃は、気まずそうにして視線を逸らした。
顔が逸らせないなら視線だけでもってか?
「瑠璃さ、本音を言うのが本当に苦手だよな。」
「うるさい、そんなのどうでもいいでしょ?」
「あぁ、どうでもいい。だからさっさと言ってくれるか?」
「嫌だ。離して。」
「言わない限り離さない。」
ニッコリと笑ってそう瑠璃に言った。瑠璃は俺を思いっきり睨みつけてくるけど、今の俺にはそんなの全く聞かないんだけどな。
慣れたし。
「何で今更また言わなきゃいけないの?何?蔑められるのが好きなの?Mなの?」
「いや、Mじゃないけど?納得いかないだけだけど?」
「人の話聞いてた?てか聞いてるの?」
「なら、何で俺の目を見てハッキリと言わなかった?瑠璃の悪い癖だよな。嘘吐く時は人の目を見ない。自覚して無いだろ?」
「なっ…そんな事無い!」
「なら、言えるだろ?昨日と同じことをさ。目を見てはっきりと言えよ。出来たらもう瑠璃に関わらないと約束してやる。」
さて、瑠璃は言えるのか…まぁこれで言われたら俺は本気で諦めるつもりだけどな。
瑠璃は何度も口を開いては閉じて…繰り返していた。
「っ…」
あ…やべぇ…意地悪しすぎたかもしんねぇ。
瑠璃が泣き出しちまった…;;
「冷のばかぁ…嫌いなんて言えるわけ無いじゃん!わかってて言ってるんでしょ?!何で突き放したと思ってんのさぁ…」
「ごめんって、泣き止んでくれよとりあえず…な?」
泣き出すとは全く俺は思って無くてかなり焦った。とりあえず涙を拭いて瑠璃を抱きしめた。
「だって…冷は人気だし…私じゃ釣り合わないって言われてきてたけど、何とか頑張ってきたけど…限界来ちゃったし…なら嫌われれば良いやって思ってたけど…それも出来なくて…冷を突き放せば忘れられると思ったけど無理で…嫌いになろうって頑張ろうとしても無理で…どうすれば良いかわかんないよぉ…」
泣きながら必死に話す瑠璃が可愛すぎて、とにかく俺は瑠璃を強く抱きしめた。
瑠璃なりに一生懸命に頑張ってたってことだけは理解できた。
「瑠璃、本音は?瑠璃は俺のこと好き?それとも嫌い?」
「好き…大好き…嫌いなんかならない…やだ…嫌いにならないでぇ…」
ギュッと強く抱きつく瑠璃がもの凄く可愛い。てかそれ以上に言葉遣いがかなり変わってるんすけど!もの凄く子供っぽくなってないか?!何?!瑠璃って泣きながら話すと子供返りするのか?!もの凄く可愛いんですけど!!持ち帰ってもいいんですか?!お持ち帰りOKですか?!いや待て!落ち着くんだ俺ぇぇぇぇぇぇ!!!!
「冷?さっきから黙ってるけど…冷は私が嫌いなの?酷い事いっぱい言ったから…嫌いになっちゃった…?」
潤んだ瞳で瑠璃は俺を見つめた。
崩壊しかけている理性を必死に保ちつつ、表に出さないように必死に堪えていた。
「嫌いになんてならねぇよ、瑠璃の本音が聞くことが出来てよかったと思ってただけだ。」
嘘ですごめんなさい。瑠璃の可愛さに悶えてました。主に頭の中だけ…
嘘ついてすみません。でも本当のことは言えません。口が裂けてもいえません。
「良かった…」
フニャっと笑う瑠璃の笑顔で、俺は思いっきりやられました…(・ω・`)
これ以上に可愛い奴なんているはずないだろ!!つーかいない!
帰って来い俺ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
「冷?大丈夫?」
「問題ない。気にしないでくれ。」
「そう?ならいいけど…」
ふぅ…何とか現実に戻ってこれてよかった…
「何か本当にごめん…迷惑ばっかりかけて…」
「だーかーらー、迷惑と考えた事は一切無い。それだけは覚えとけ。いいな?」
「でも…」
「よしっ!これから迷惑とかそうゆう事言ったら、お仕置きだ。」
「お仕置き?どんな?」
キョトンとして俺を見つめる瑠璃に、俺はスッと顔を近づけてキスした。
ゆっくりと顔を離して瑠璃を見つめたら、真っ赤な顔をしていてもの凄く可愛かった。
あぁ~…俺瑠璃に惚れ過ぎかもしんねぇ…
いや、自分で言うのもなんだけど可愛すぎんだろ。一個一個の仕草とか反応とか可愛すぎだって!
…俺さっきから誰と話してんだ?
「なっ…何す…」
「顔赤すぎ。まぁ、お仕置きってこれだからな?因みに、外だろうと教室だろうとどこでもそれ言ったらやるから気をつけろよ?」
「言わないように頑張るもん!」
そういった瑠璃は、久々に俺の前で笑ってくれた。曇りの無い綺麗な笑顔だった。
付き合ってた頃と同じ笑顔を俺に見せてくれた。
「瑠璃、俺もう本気で瑠璃に嘘は吐かない。それだけは信じてくれ。それと本題に入る。もう一度俺とやり直してくれ。」
瑠璃の目をまっすぐと見つめて、俺はハッキリといった。
瑠璃は顔をまた赤くして、ゆっくりと俺の目を見て返事してくれた。
「…うん。本当にごめんね。私からもお願いする。」

こうして俺たちはまた付き合うことになった。